マイバッグを持参しても、プラスチックフリーの買い物は簡単ではない。特に新型コロナウイルスの影響により、衛生面での問題でプラスチック包装の利用が増加した。2020年に米サンフランシスコでスタートし、2021年2月にはロサンゼルスにも進出した「Zero」は、使い捨て包装を使用しない宅配サービスを提供している。新鮮な食材を生産現場から調達し、専用の倉庫に備蓄し、卸売価格で販売。会員は無料、非会員の場合は7.99米ドルで家に届けてくれる。
創設者兼CEOのズレイカ・ストラスナー氏は、サプライチェーンを改善することで廃棄物をゼロにすることを目標に「Zero」を立ち上げた。彼女が考案したのは、ガラス瓶を用いた循環型システム。一部の商品はこのガラス瓶に入れて自宅に配送され、使用後は同社が回収、洗浄して再利用する仕組みだ。この循環は退会するまで続き、退会時には手持ちのガラス瓶の数に応じて料金が請求される。また、生鮮食品や包装されたお菓子などは、紙製の箱や再利用可能な保冷バッグに入れて届けられる。便利で環境に優しいビジネスを展開している。
仕組みとしては、生産者や製造者は自社製品を「Zero」の施設に送り、同社が製品を小分けにして瓶(瓶が適さない場合は他の堆肥化可能な素材)に詰めることで廃棄物ゼロを実現している。消費者にとって、「Zero」から食料品を購入することは、他の競合製品と同様に便利である。ログインするだけで、青果から食肉、惣菜、ベーカリー、飲料やスナックを家庭用や個人用、食事制限のある方向けの商品など豊富にそろっており、さまざまなカテゴリーから商品が注文できる。
サステナブルな行動をするときに、品質やコスト、利便性などを犠牲にする必要はないと同社は考えている。消費者と共にプラスチックを使用しないオンライン食料品店を作ることからスタートした「Zero」。今やサプライチェーン全体にまでその取り組みが広がりつつある。食品のみならず、あらゆる製品に展開する日はそう遠くはないのではないだろうか。