世界的な鳥インフルエンザの蔓延によって卵の価格が値上がりしており、収束にはまだまだ時間がかかりそうだ。日本でも、今シーズンは過去最速の10月28日に国内1例目が確認されて以来、2023年3月14日時点で26道県80事例発生し、約1,612万羽が殺処分の対象となっている。栄養豊富で「物価の優等生」といわれてきた卵の値上げは、消費者の食生活に大きく影響しかねない。
そうしたなか、食品や飲料の輸入販売を行う「日仏貿易株式会社」は、フランスのスタートアップ企業が製造・販売する、卵と同等の機能を持つ植物性食品「YUMGO(ユンゴ)」の取り扱いスタートを決定。これに伴い、同社は卵白と同等の機能を持つ「ユンゴ・ブラン・パウダー」の販売を、2023年2月より開始した。
「YUMGO」は、すでにフランス本国で卵白、卵黄、全卵それぞれに代替可能な植物性食品として販売されており、液状とパウダー状の2種類がある。今回、日本で購入可能となったのは、卵白に置き換えられるパウダー状の「ユンゴ・ブラン・パウダー」だ。
ポテトプロテインや植物性ファイバーから作られたプラントベースのパウダーは卵白のように立てられるため、製菓・製パンをはじめとしてさまざまな調理に使用できる。「おいしいプラントベース」の実現を目指し、研究開発を重ねて作られたという点で画期的な食品だといえるだろう。
プラントベースのスイーツは、従来通り卵白を使用するレシピと比べて味が劣るとされてきた。しかし、卵白と同等の機能を持つ植物性食品を活用すれば、ベジタリアンやヴィーガンはもちろん、誰もがおいしく食べられるスイーツを作ることができる。
近年、日本を訪れる外国人が増えており、観光業や飲食業においてグローバル化への対応は必須だ。特に食事に関しては、宗教や文化といった背景に加え、アレルギーや持病など健康上の理由から制約のある人も少なくない。
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また、消費者庁による「食物アレルギー報告書(令和3年度)」によると、アレルギーの原因となる食物としては卵、牛乳、アーモンドやピスタチオなどの木の実類、小麦、ピーナッツの上位5種類が8割以上を占めた。その後には、魚卵、果実類、甲殻類、魚類、大豆、そばが続いている。卵アレルギーを抱える人にとって、「YUMGO」のような卵不使用の食品は、安心して食事を楽しめる助けとなるだろう。今後、飲食店でもプラントベースの食材を積極的に取り入れ、高まるフードダイバーシティのニーズに応えることが大切だ。
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【参照サイト】 YUMGO
【参照サイト】 新商品発売のお知らせ 卵白と同等の機能を持つ「ユンゴ・ブラン・パウダー」2023年2月日本での販売開始
【参照サイト】 農林水産省:鳥インフルエンザ 国内における発生状況