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あらゆる業界において、消費者のニーズに応えることは企業の利益につながる重要な課題のひとつだ。例えば企業が未来の消費トレンドを把握していれば、商品開発やブランディングなどさまざまな方面に活かせるだろう。

2025年10月8日、世界的なナチュラル・オーガニック系スーパーマーケットチェーン「Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)」が、食品・飲料業界における2026年の主要トレンドを発表した。

1980年に設立されたホールフーズ・マーケットは、アメリカで初めてオーガニック認証を取得した食品小売業者。「Whole Foods, Whole People, Whole Planet」を企業理念に掲げ、食と人、地球を健康にするサステナブルな取り組みを実践している。

ホールフーズ・マーケットでは毎年、ホールフーズ・マーケット・トレンド評議会がトレンドを作成する。評議会には調達担当者から購買担当者、料理の専門家に至るまで多様なメンバーが集結。トレンドの予測に際しては業界での豊富な経験や消費者の嗜好に関する鋭い観察をベースに、新興ブランドや既存ブランドとの共同セッションも判断材料としている。
2026年に食品業界に影響を与えると予想されるトレンドは、以下の8つ。

1. Tallow Takeover/牛脂

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1つ目のトレンドは「牛脂」。ホイップ状のものからハーブで風味付けしたタイプまで、多様な牛脂が再び注目を集めている。栄養価が高く、コクのある風味を持つ牛脂は、かつて伝統料理に欠かせない食材として、何世紀にもわたり揚げ物や焼き物に使われてきた。近年は、先祖伝来の食材を見直す動きや、代替油脂を求める消費者の間で、その価値が再評価されている。

レストランにおいても、フライドポテトからペストリーに至るまで、従来の油の代わりに牛脂を取り入れる動きが広がっている。動物を「nose to tail(鼻先から尻尾まで)」余すことなく活用する考え方に共感する顧客に向け、これまで廃棄されがちだった油脂の新たな活用法を提案している点も特徴だ。

2. Focus on Fiber/食物繊維

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2つ目のトレンドは「食物繊維」だ。依然としてタンパク質は人気であるものの、消費者が腸内環境や総合的な消化器官の健康、そしてより長く満腹感を保てる自然な方法を求めるにつれ、食物繊維の注目度が高まっている。

ブランド各社はパッケージに食物繊維を積極的に取り入れるようになり、店頭にはパスタやパン、クラッカー、バーなど食物繊維を配合した商品が増加。また、キャッサバやチコリなど根菜類は健康に有益な効果をもたらすとされるプレバイオティクス飲料の原材料名によく登場しており、こんにゃくも植物由来の調理済み食品に欠かせない食物繊維源となっている。
一方、オートミールのような常備食材に関しては、プレバイオティクス繊維が豊富で腸に優しいと謳う商品が目立っている。こうした食物繊維の豊富な食品は、もはや一昔前の世代だけのものではないといえるだろう。

3. Year of the Female Farmer/女性農家

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3つ目の「女性農家」では、農業における女性の役割がますます重要となることを示唆している。実際に、国連食糧農業機関(FAO)は2026年を「国際女性農業年」と宣言した。

また、全米若手農業者連合(National Young Farmers Coalition)などの団体は若手農業者助成金プログラムの50%を女性、ノンバイナリー、トランスジェンダーの農家に寄付。「Lotus Foods」や「Kvarøy Arctic」といった企業でも女性への支援に取り組んでいる。

4. Kitchen Couture/キッチンクチュール

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4つ目の「キッチンクチュール」は、見ているだけで気分の高まる食品を、自分へのご褒美として取り入れる方法。
鮮やかな色彩や大胆な柄、遊び心のあるインテリアを取り入れることで、空間からポジティブな感情や高揚感を引き出すインテリアのトレンド「ドーパミン・デコレーション」の潮流が、2026年にはキッチンにも広がりを見せそうだ。

魅力的なアートワークが施されたワインラベルのように、実用性や統一感よりも「自分が心地よく、楽しいと感じるか」を軸に、自由に色や素材を組み合わせるスタイルが支持されている。
こうした流れを受け、各ブランドは大胆な色使いや個性的なデザインを食品パッケージに取り入れ、日常の調理シーンに“装う楽しさ”を提案し始めている。

5. Freezer Fine Dining/高級冷凍食品

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5つ目は「高級冷凍食品」。消費者は、時間を節約しながらも高品質な食材で世界各国の料理を作りたいと考えている。そこで冷凍食品の新商品ラッシュが到来すれば、前菜やサイドメニューが充実し、レストラン級の美味しい食事を自宅で味わえるようになるだろう。日々の献立を考える人や、外食を控えたい予算重視のグルメ通のニーズにも合致する。

6. Very Vinegar/お酢

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6つ目は「お酢」。数千年の歴史を持つ酢は薬用としても使われており、いわば機能性食品の元祖だ。今では消費者によってクリエイティブに活用されていることから、現代的に復興しているといえるだろう。
さらに消費者は、プレミアムな少量生産品や大胆で新しいフレーバー、そして家庭からレストランまであらゆる料理の味わいを格上げする革新的な商品を求めている。こうしたなか、酢はクリーミーな調味料の分野にも進出。さらにブランド各社はパッケージに新たな使い方を記載し、酢をより楽しめるように工夫している。

7. Sweet, But Make It Mindful/シンプルな甘み

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7つ目は「シンプルな甘み」。いつの時代でも甘党はいるものだが、一方で砂糖の摂取量を気にする消費者も増えている。
しかも砂糖の代替品ではなく、本物のサトウキビ糖や丸ごとの果物、蜂蜜、メープルシロップなどでシンプルに甘みをつけた製品が選ばれる傾向だ。そのため、ジャムやチョコレート、グミなどのブランドは、風味と食感を重視しながら大量の砂糖ではなく本物の果物を使った製品を開発している。

8. Instant Reimagined/インスタント食品

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最後のトレンドは「インスタント再考」。ブランド各社は、かつて電子レンジや利便性だけを連想させる言葉だった「インスタント」という言葉に、新たな価値を見いだしつつある。
近年では、常温保存が可能で、職場のキッチンや長時間のフライト中でも、革新的かつ健康志向のインスタント商品を選べるようになってきた。こうした需要を背景に、企業は数秒で手軽に準備できる製品開発に注力しており、新興ブランドの参入も相次いでいる。

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A Minneapolis Whole Foods is boarded up during racial unrest.

今回紹介したトレンドは日本市場を前提としたものではないが、そこに見られる「健康志向」や「サステナビリティ」「ウェルビーイング」「簡便性」といった潮流は、日本の消費者ニーズとも十分に重なる部分があるだろう。さらに、既存の日本食材や調理法を新たな視点で再編集するためのヒントとしても、参考になりそうだ。

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【参照サイト】Whole Foods Market Forecasts the Top Food and Beverage Trends for 2026
【参照サイト】Whole Foods Market

table source 編集部
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