料理に合わせて水を選ぶ。イギリスのミシュラン掲載店が、ウォーターメニューを導入

ウォーターメニュー導入

飲食業界において多様化する食のニーズへの対応は必須だが、飲み物についても同様のことがいえる。
例えばアルコールは、年齢制限だけでなく体質や健康上の理由から飲めない人も少なくない。そのため、アルコールを飲む人と飲まない人がお互いに食事を楽しめるように、ドリンクメニューの内容を充実させるのもひとつの手段だろう。

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近年は世界的にアルコール離れが指摘されている。アメリカの世論調査企業であるGallup社が2025年7月に実施した調査によると、アルコールを消費すると答えたアメリカ成人の割合は過去最低の54%だった。特に18歳から34歳までの若年成人の飲酒報告率は50%で、10年前から低下傾向が続いているという。また、適度な飲酒であっても健康に悪いと答える人は過半数の53%に上っており、健康志向が高まっている様子も読み取れる。

ウォーターメニュー導入

そうしたなか、イギリス北部のCheshire州にあるレストラン「La Popote」は、同国では初の試みとなるウォーターメニューを導入した。食事の際に3種類のミネラルウォーターか4種類の炭酸水、無料の水道水から選ぶことができる。

La Popoteは、シェフのJoseph Rawlins氏とそのパートナーであるGaëlle Radigon氏が共同で創業したフレンチスタイルのレストランだ。ワインのメニューは約140種類と豊富に取り揃えており、ミシュランガイドにも掲載されている。

今回、La Popoteでボトル入り飲料水を提供するに至ったのは、ファイン・ウォーター・アカデミー認定のウォーターソムリエであるDoran Binder氏のアイデアがきっかけだった。

3年前から、Binder氏は自身のブランド「Crag Spring Water」を同レストランの“ハウスウォーター”として提供しており、その延長としてウォーターメニューの導入を提案した。レストランの経営者は、彼が選んだ5〜6種類の異なる水を実際に試飲し、さらに特定の料理と組み合わせて再度試飲したところ、水の味わいの変化を実感。そのユニークな体験をきっかけに、新たなウォーターメニューの採用が決定したという。

提供する水は、イギリスをはじめフランスやスペイン、ポルトガルなどヨーロッパ各地から厳選。水中におけるミネラル含有量の測定値である総溶解固形分(TDS)が味や風味を左右するとして、幅広いTDSの水を用意している。

飲食店でアルコール以外の選択肢を拡充することで、フードダイバーシティ(食の多様性)の実現につながる。同時に、料理に合わせて多種多様な水を提供するというユニークな試みはお店のPR効果も期待できそうだ。持続可能な飲食ビジネスの基盤を築いていくためには、今後さらに、多様性を尊重する柔軟な発想やアイデアが求められていくだろう。

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【参照サイト】U.S. Drinking Rate at New Low as Alcohol Concerns Surge
【参照サイト】Michelin-listed restaurant is launching a new drinks menu — of just bottled water
【参照サイト】A restaurant is launching the UK’s first water menu | RNZ

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