インフラ危機対策ガイド

日本の国土は地形や地質、気象などの条件により災害に見舞われやすいといわれている。実際に、日本で発生する地震の回数は世界全体の約18.5%を占めるなど、極めて高い割合となっており、南海トラフ地震や首都直下地震といった巨大地震のリスクも看過できない。さらに近年は、気候変動の影響により、台風による被害や洪水、土砂災害などの自然災害の発生も、長期的に増加傾向にあると指摘されている。

災害はいつどこで起こるかわからないからこそ、国家から企業、個人レベルに至るまで防災への意識と十分な備えが求められる。とりわけホテルや飲食店にとっては、災害時に利用客と従業員の双方を守るための対応を取れるかどうかが非常に重要だ。

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そこで、飲食店ができる防災対策の事例として、アメリカの全米レストラン協会が発表した最新の年次危機対策ガイド「Always Ready: Utility Disruptions」に注目したい。

2026年1月7日に発表されたこのガイドは、レストラン経営者が電気、ガス、水道といった公共設備の予期せぬ供給停止に備え、復旧に向けて必要な手順と停止中に取るべき行動についてまとめたものだ。

具体的には、危機管理チームの編成や手元に用意すべき物資、保険に関する考慮事項、停電に対する短期および長期の計画策定に言及。
また、天然ガス漏れや水道サービス、水道管の破損、煮沸勧告※、安全な復旧手順など、混乱の種類に応じた段階的な考慮事項も含まれる。

※煮沸勧告とは、水道水の安全性に懸念が生じた際に、水道事業者が住民に対して水を煮沸してから使用するよう呼びかける仕組みのこと。日本では馴染みのない制度だが、アメリカなどで広く運用されており、水道水に有害なバクテリアや微生物が混入している可能性がある場合に発令される。水質リスクを抑えるための緊急的な対応として、水道事業者と市民が連携して安全を確保する役割を担っている。

インフラ危機対策ガイド

レストランがガイドに倣って事前に計画を立てておけば、公共設備の供給発生時および発生後にも適切かつスムーズに行動しやすくなる。その結果、店舗運営を早期に再開でき、収益の損失を削減することにもつながるだろう。災害時にはインフラの速やかな回復が不可欠だが、身近な飲食店の復旧も地域社会に安心感を与える一助となり得る。

飲食店やホテルにおける災害リスクは、電気や水道など公共インフラの停止にとどまらず、建物や設備の損壊、さらには火災やけがといった二次被害にまで及ぶ可能性がある。こうした被害をできる限り抑えるためには、店舗の立地や設備、運営体制といった実情に合わせ、万が一の事態に備えた危機対応ガイドを整備しておくことが重要だ。
従業員や利用客の安全を守りながらレジリエンス(回復力)を高める取り組みは、持続可能なお店づくりを支える対策の一つといえるだろう。

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【参照サイト】New Always Ready Guide Helps Restaurant Operators Prepare for Unexpected Utility Disruptions
【参照サイト】我が国を取り巻く環境変化|国土交通省

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