若年層にとって環境問題は「自分ごと」。アメリカで遊具を使った教育プログラムが開始

環境問題をはじめとするサステナビリティに関する取り組みの推進には、問題を「自分ごと」として捉えることが重要なポイントだといわれている。グリーン電力会社「afterFIT」が2021年10月に親子を対象に実施した調査によると、環境問題に対して「かなり重要」と答えた親世代(30歳〜59歳)は42.5%だったのに比べ、中高生は59.5%と高い結果になった。また、中高生の88.6%が環境問題に対して「行動したい」、62.4%が「もっと環境問題について学びたい」と回答しており、環境問題を自分ごととして認識している傾向が明らかになった。

アメリカの子ども世代でも、環境問題への関心は高い。プラントベース食品会社「Impossible Foods」は2021年、5歳から18歳までを対象に、食料生産と環境への影響についての調査を、第三者を派遣して実施。結果、80%が気候変動について認識し、90%が「気候変動に対して行動することが大事」だと考えていることが分かった。

こうした世代間の意識の差には、近年の環境教育・学習の充実も影響している。2022年10月、教育非営利団体「Beyond Benign」はImpossible Foodsと教育関係者と共同で開発した新プログラム「Plate to Planet」の公開を発表した。4つのユニットから成るこのカリキュラムは小学校の教育者向けで、科学に基づいた食に関するレッスンを通じ、生徒たちが日常生活でも持続可能性のために行動できるよう学ぶことができる。2021年から2022年学期に試験的運用もされた。

フラフープなどの遊具を使い、動物由来の食肉よりプラントベース肉の方が環境負荷が低いことを学んだり、地球規模の食肉生産が気候変動に与える影響を理解して解決策を考えたりと、実践的で対話的な内容が特徴。体験型の授業を通し、教室の中だけでなく学校外や家庭でも、個人の食の選択が世界に与える影響や、生物多様性など現実的な課題が議論できるよう設計されている。科学は難しいものではなく、楽しくて分かりやすく、重要なものであると実感できるカリキュラムだ。

Impossible Foodsによるプラントベース食品の一部は2021年に米国農務省の認定を受け、現在全米500校で提供されている。生徒たちが環境問題について学びながら、実際に口にし身近な食材と感じることで、プラントベース食品の将来的な需要拡大にもつながりそうだ。

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