全米レストラン協会、2025年のトレンドを発表。持続可能性と地元食材がカギ

2025 トレンド

1919年に設立された「The National Restaurant Association’s(全米レストラン協会)」は、レストランや食品サービスなどアメリカの外食企業が加盟している組織だ。52の州協会を傘下に置き、レストラン業界に対するサービスを通じて消費者の生活の質を向上させることを目的としている。

同協会は、人材の確保と育成を支援する教育リソースとして、食品の安全性に関するトレーニングおよび認定プログラム「ServSafe」を提供。また業界最大の見本市「The National Restaurant Show」を開催したり、高校生向けのキャリア形成プログラム「ProStart」を後援したりと、多様な活動を展開している。

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2024年11月12日、全米レストラン協会は「2025 What’s Hot Culinary Forecast is here(2025年の注目の料理予測)」を発表した。この調査は、2024年10月にアメリカの料理業界における専門家約300人を対象に実施。7つのカテゴリーに分けて71品目をランク付けした。

調査結果によると、「持続可能性」と「地元産食材」が全体的なトレンドのトップに浮上。専門家たちは、地元産食材を使用した環境に優しい選択肢を提供するレストランがより一層消費者に求められるようになっていると指摘する。2025年にはイノベーションとサステナビリティ、そして価値重視の選択が融合して料理業界のトレンドを形成していくといえるだろう。

今回の予測では、特にキノコや地元産食材の人気が高まっていることが明らかになった。そこで、トレンドの注目ポイントをいくつか取り上げたい。

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2025年の主役になるといわれている食材が「キノコ」だ。キノコにはさまざまな健康効果が期待される上に、パスタからコーヒー、デザートに至るまであらゆるメニューに使える汎用性も備えている。機能性キノコと呼ばれるこれらの菌類は、健康志向の料理を求める消費傾向が強まるなか、世界中のシェフによって研究されているという。

また、「持続可能性」が重要な食のテーマとして認識されているところも、トレンドの特徴。レストランでは地元産の食材を使った料理を提供し、サステナブルな取り組みを実践している。こうしたアプローチによって、環境への負荷を軽減するだけでなく、地元の農林水産業を活性化させることも可能だ。

さらに「超地元産ビールとワイン(Hyper-Local Beer & Wine)」も、持続可能性と結び付くトレンドではないだろうか。超地元産のアルコール飲料は地産地消に貢献するとともに、エシカル消費を促進する効果も期待できるだろう。このほか、爽やかで風味豊かな飲み口の「コールドブリュードリンク」や、料理に甘くてスパイシーな刺激を加える「ホットハニー」が上位にランクイン。また、味と健康のバランスが取れているとして、韓国やベトナムなど「東南アジア諸国の料理」に注目が集まっているという。

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ニューヨークの老舗有名レストラン「Delmonico’s(デルモニコス)」

レポートでは、シェフが伝統的な料理を新たに考案しながら、世界各国の味を取り入れた味を試してみるなど、革新と懐かしさの融合を推奨しており、全米レストラン協会の副会長であるChad Moutray氏は、「今年の予測では目新しさと懐かしさの両方を称賛し、おなじみの人気料理に現代的なひねりを加えて、外食を思い出深い体験にしています」と述べている。

最近では、ニューヨークの老舗有名レストラン「Delmonico’s(デルモニコス)」が、伝統的なチキンメニューをヤマブシタケ(山伏茸)というキノコを使って植物性にアップデートしたことで話題になった。この事例は、まさにこのレポートの示す「革新と懐かしさの融合」を形にしたものだ。新たなメニューを開発することは決して簡単なことではないが、まずはこうした世界のトレンド予測を考察し、アイデアのヒントにしてみてはいかがだろうか。

【関連記事】

ニューヨークの老舗有名レストラン、伝統的なチキンメニューを植物性にアップデート

【参照サイト】National Restaurant Association
【参照サイト】Research Reports | National Restaurant Association
【参照サイト】NRA releases 2025 What’s Hot Culinary Forecast – Produce Blue Book
【参照サイト】food trends 2025: Food Trends of 2025: These food options will be dominating the restaurant menus – The Economic Times

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table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆さまに向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
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