廃棄衣料をレザー調のホテル備品に。アーバンリサーチのアップサイクルブランド「commpost」

毎日当たり前のように着ている衣類は、植物や石油など、さまざまな素材から作られる。その製造過程では大量の水が使われ、化学薬品による土壌汚染や工場からのCO2排出といった環境への負荷も深刻だ。また、ファッションの消費サイクルが速まるにつれて、廃棄される衣類の量も増加すると考えられる。

環境省が2020年12月から2021年3月にかけて実施した、日本で消費される衣服と環境負荷に関する調査によると、リユースやリサイクルで再利用される衣類の割合は合計で約34%だった。また、ごみとして廃棄された衣類はほとんど再資源化されず、年間で約48万トンもの量が焼却・埋め立て処分されているという。

こうした衣類ロスに対応することで廃棄物を削減できれば、SDGsの目標達成にも繋がる。そのためには、衣類の製造や販売に関わる企業が主体となり、循環型の生産体制を構築する必要があるだろう。

そうしたなか、ホテル向けに備品や什器を提供する「河淳(かわじゅん)株式会社」は、アパレルブランドを幅広く展開する「株式会社アーバンリサーチ」の廃棄衣類アップサイクルブランド「commpost(コンポスト)」と協働。ホテルの客室に備え付けられるアップサイクルアイテムの取り扱いを、2023年3月10日より開始した。

左:ハーフティッシュボックス 各¥3,740 (税込)、右:トレーL 各¥2,820 (税込)

今回発売されたのは、コンパクトなハーフサイズのティッシュボックスとアメニティの設置に便利なトレーの2種類。「commpost」独自の生地は株式会社アーバンリサーチの廃棄衣類をアップサイクルして作られており、シボ感のあるレザー調の風合いが上質な客室空間を演出する。また、撥水性のある生地のおかげで簡単に手入れでき、ホテルのスタッフにも宿泊客にも使いやすいところもポイントだ。

さらに、使い終えた「commpost」のアイテムは回収して生地にリサイクルされた後、ふたたび新しい製品に生まれ変わる。

「commpost」は、河淳株式会社をはじめとした幅広い分野の企業と連携することで、従来難しいとされてきた衣類のアップサイクルを推進。アップサイクルの考え方に基づき、サステナブルな生活スタイルを提案するブランドのひとつだ。また、障がい者や就労困難者の働く機会を創出するなど、多方面から持続可能なものづくりにアプローチしている。

自社の商品を廃棄せずに有効活用するアパレル企業のサステナブルな取り組みは、サーキュラーエコノミーのモデルケースといえるだろう。ホテルや旅館でも、社会全体の廃棄物量を減らすため、commpostのようなサステナブルなアメニティを導入してみてはどうだろうか。

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【参照サイト】 アーバンリサーチの廃棄衣料アップサイクルブランド「commpost(コンポスト)」が、河淳株式会社とホテル備品を共同企画
【参照サイト】 環境省_サステナブルファッション
【参照サイト】 commpost (コンポスト) | SPECIAL | URBAN RESEARCH アーバンリサーチ

table source 編集部
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