FAO(国際連合食糧農業機関)の報告によると、世界では毎年約13億トンの食料が廃棄されている。これは食料生産量のおよそ3分の1に当たる。日本でも1年間に約612万トン(2017年度推計値)もの食料が廃棄されており、1人当たりではお茶碗1杯分のごはんの量が毎日捨てられている計算になる。
そうした中、食品のサブスクリプションサービスを提供するオイシックス・ラ・大地株式会社は、2021年7月にアップサイクル商品のみを販売する食品ロス解決型ブランド「Upcycle by Oisix」を立ち上げ、プライベートブランド商品第1弾「ここも食べられるチップス」2種の販売を開始した。
Oisixは生産現場から食材が顧客に届くまで、一気通貫で長年「食」に向き合ってきた。見栄えや食感の悪さなどから捨てられていた食材に新たな価値を持たせ、新しい食の楽しみ方や驚きを提供しながらフードロスも削減していく考えだ。
ここも食べられるチップスは、提携先工場の商品製造・加工の過程で出る廃棄食材を活用している。「ここも食べられるチップス ブロッコリーの茎」は、冷凍ブロッコリーのカット工場で花蕾をカットしたあとに残る茎を活用、「ここも食べられるチップス だいこんの皮」は、大根の漬物の製造工程で発生した大根の皮を使用し、ココナッツオイルで揚げてチップスにしている。廃棄食材に下処理を施して食感と甘味をコントロールし、味付けには天日塩とてんさい糖を使用。おやつやおつまみとしてそのまま食べることはもちろん、サラダやスープのアクセントにもおすすめだという。
ここも食べられるチップス2種は、発売から1週間で約0.7トンの食品ロス削減を実現し、7月中には早くも1トンを達成する見込みと発表している(7月26日時点)。また、3年後にはUpcycle by Oisixで年間約500トン、商品製造に関わる提携先100社の食品ロス削減を目標としているという。
オイシックス・ラ・大地株式会社は、Upcycle by Oisixの他にも、サブスクリプションモデルによる受注予測やふぞろい品の積極活用、家庭での食品廃棄が削減できるミールキットなどを通じ、畑から食卓まで、サプライチェーン全体で食品ロスゼロを目指している。
ほとんどの飲食店で、仕入れた食材のうち料理に必要ない部分を廃棄せざるを得ないのが実情ではないだろうか。ここも食べられるチップス ブロッコリーの茎は、初週販売計画の3倍、ここも食べられるチップス だいこんの皮は、発売1週間で販売計画の約2倍を売り上げる好結果だったという。捨てるはずだった野菜の皮、茎、葉などが工夫次第で思いがけず人気のメニューになることもあるかもしれない。
【参照サイト】「Upcycle by Oisix」製造・加工の過程で出る廃棄食材を活用 アップサイクル食品により、7月中に1トンの食品ロスを削減見込み
【参照サイト】Upcycle by Oisix
【参照サイト】食品ロスの現状を知る|農林水産省
【参照サイト】世界の食料ロスと食料廃棄