多くの人たちに愛されているコーヒー。気候変動の影響によってコーヒーの栽培に適した土地が半減する「コーヒーの2050年問題」に代表されるように、将来は気軽に飲めなくなってしまう可能性があることをご存知だろうか。
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そうした問題に対し、抽出後のコーヒーかすや、生産国で大部分が捨てられてしまっているコーヒーチェリーの果皮(カスカラ)をアップサイクルで有効活用することで、コーヒー産業の廃棄物を減らすと共に、コーヒー農家の収入向上を目指す活動が「UP COFFEE CHALLENGE」だ。この活動は、アップサイクルで食の持続可能性をアップデートする共創プロジェクト「UP FOOD PROJECT」の参加企業から、賛同企業6社が集まって2023年3月1日にスタート。2023年3月23日には、本来は捨てられるコーヒー豆かす(抽出した後の絞りかす)を中心としたアップサイクル商品を発表した。
今回発表した商品は、コーヒータイムに彩りを加える「テーブルウェア」、憩いの読書タイムを共にする「ブックアイテム」、癒しのバスタイムを演出する「バスグッズ」という3つのテーマで開発された。
コーヒーの木は毎年多くの農園で木の植え替えや剪定が行われ、山に放置されている。「コーヒーの木コースター」は、そうした伐採や剪定により廃棄されるコーヒーの木で作ったコースターだ。「コーヒーかすのコースター・カトラリーレスト」は、ドリップした後のコーヒーかすを、染色材料として使用し、さらに染色後に残ったコーヒーかすを熱圧縮技術によって、コースターとカトラリーレストにアップサイクルした商品。
「コーヒーペーパーの手漉き栞」は、使用済みの牛乳パックを手作業で漉きあげて新たな紙へと再生し、ドリップ後のコーヒーかすで色付けをして作った栞。宮城県の南三陸にある障害福祉事業所である「NOZOMI PAPER Factory(ノゾミペーパーファクトリー/のぞみ福祉作業所)」で作られている。
「コーヒー染めブックカバー」は、岐阜県大垣市で衣類の染色や加工を行う「艶金」が独自に開発した「のこり染」と呼ばれる染色方法(農林水産省「食品産業もったいない大賞」受賞)により、コーヒーかすを使って染めあげている。
和歌山県のニット機械製造・販売メーカー「島精機製作所」が開発した、牛乳パックから作られた糸「REPAC™」で編んだタオルをコーヒーかすで染めた「コーヒー染め牛乳パック紙糸フェイスタオル・ハンドタオル」。REPAC™は和紙糸と同じような機能性を持ちながら、一部を牛乳パックを主としたリサイクル紙に置きかえた新素材で、サラっとした肌触りと吸水性、防臭性を備えている。
「コーヒースクラブソープ・コーヒーアロマバスシュガー」は、北海道コカ・コーラボトリングが、ボトリングの際に発生するコーヒーかすを活用して作った石鹸とバスシュガーだ。
季節によって入れ替わることもある食事メニューと違い、通年で提供されるコーヒーは、カフェはもちろん、多くの飲食店やホテルにとって必要不可欠な存在だといえる。コーヒーをめぐる様々な問題に向き合い、解決に向けて貢献していくために、まずは今回紹介したようなアップサイクル商品を、お店の備品やアメニティとして導入することを検討してみてはいかがだろうか。
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