
コーヒーやチョコレートは、飲食店でよく提供されるメニューだ。しかし、その原料となるコーヒー豆やカカオ豆を栽培する過程での「児童労働」が深刻な問題となっている。
実際に、カカオ産地の農業世帯では、約45%もの子どもたちが児童労働に従事。児童労働とは、15歳未満の子どもの義務教育を妨げる労働や18歳未満の子どもによる危険有害労働を指し、国際条約や各国の法律で禁止されている。児童労働から子どもたちの命と権利を守るために、世界全体で支援に取り組む姿勢が重要となるだろう。
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そうしたなか、世界中で子どもの支援活動を行う国連機関ユニセフは、2023年9月18日からニューヨークで開催される第78回国連総会ハイレベルウィークとSDGサミットに先駆けて、報告書「子どものウェルビーイングの推進状況:子どもの権利の視点から捉えるSDGs」を発表。
SDGsの目標年である2030年までの中間点となった2023年、子どもに関連するSDGs指標の3分の2が目標達成に向けたペースを外れていることを明らかにした。
報告書によると、現時点で子ども関連の目標の50%を達成し、世界的に最も高い達成度を示しているのは、世界の子どもの人口の6%、すなわち、わずか11カ国に住む1億5,000万人にすぎないという。そして、現状から想定されるペースが続いた場合、2030年までに目標を達成できるのは、世界の子どもの人口のわずか25%を占める60カ国に留まり、140カ国の約19億人が取り残されるとしている。
また、報告書では190カ国以上の20年以上に及ぶデータを分析し、子どもに関連するSDGsの目標達成に向けた各国の進捗状況と、2030年までに目指すべき姿を比較。各国がこれまでの成果を認識するとともに、今後どのような取り組みを進めればよいのか考える機会を提供している。
例えば、各国の政府が保険や教育、社会保護などの分野で支出を増やし、社会政策に注力するのも効果的な手段だ。そのためには、国内や国家間における資金調達システムの構築も求められるだろう。
ユニセフは、子どもに関連するSDGsの目標達成にあたって、各国が前例のないレベルで進捗を加速させる必要があると言及している。
もちろん、日本も例外ではない。特に日本は約60%の食料を海外から輸入しており、「海外の児童労働問題とは関係ない」と言い切れないのではないだろうか。日本の消費者が児童労働のない環境で作られた食材や製品を選ぶようになれば、子どもの権利を守ることにつながる。また、こうしたエシカル消費の実践は、SDGsの12番目の目標「つくる責任 つかう責任」の達成にも欠かせない。
一つひとつの飲食店が、フェアトレード商品などの児童労働のない環境で作られた食材を選択することで、SDGsの目標達成だけでなく世界の子どもたちのウェルビーイングを充実させる役目を担うことができそうだ。
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