2021年11月19日、イギリス政府は、タコやカニ、ロブスターなどの十脚目および頭足類を「感性のある動物」として、動物福祉(感覚)法の保護対象に追加したことを発表した。

この発表は、LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)の研究報告に基づいて行われたものだ。LSEの専門家は、300件以上の研究を精査し、頭足類(タコ、イカを含む)と十脚類(カニ、ロブスター、ザリガニを含む)が痛みや苦痛などを感じる「知覚」を持つことを確認したという。報告書では、この研究結果に基づき、生きたまま茹でたり四肢を切断したりする調理方法は行わないこと、訓練を受けていない取引会社には販売しないこと、また輸送の際にも最善を尽くすことなどを推奨している。

イギリス政府の発表の中で、動物福祉大臣のザック・ゴールドスミス氏は次のように述べている。
「イギリスはアニマルウェルフェア(動物福祉)を常にリードしてきました。さらに、その先を目指すために、アニマルウェルフェアの具体的な施策としては、ペット、家畜、野生動物に対してこれまでにない強い効力のある保護制度を導入することを掲げています。」
「動物福祉感覚法案は、法律制定の際に、アニマルウェルフェアについて正しく考慮されていることを保証する重要な法案です。十脚類や頭足類が痛みを感じることは科学的に明らかになっており、この重要な法案の対象となるのは当然のことです。」

また、同発表についてイギリス政府は、「既存の法律や漁業、外食産業に直接的な影響はない」としている。一方で、今後のアニマルウェルフェア施策においては、今回の決定が考慮される予定だと述べている。

2021年6月に行われた株式会社ネオマーケティングの調査によると、ヴィーガンやベジタリアンになった理由に「アニマルライツに関心を持ったこと」と回答した人は、ヴィーガンの人で29.5%、ベジタリアンの人で21.8%にものぼる。すでにスイス、ニュージーランドを含む一部の国では、甲殻類を生きたまま調理することは法律で禁止されている。ヴィーガンやベジタリアンが年々増加している日本で、法案改正の声があがる日もそう遠くはないかもしれない。

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【参照サイト】 GOV.UK:Lobsters, octopus and crabs recognised as sentient beings
【参照サイト】 LSE:Octopuses, crabs and lobsters to be recognised as sentient beings under UK law following LSE report findings
【参照サイト】 LSE:Review of the Evidence of Sentience in Cephalopod Molluscs and Decapod Crustaceans
【参考サイト】 全国の16歳以上の男女を対象に聞いた「日本のビーガン・ベジタリアン実態調査」

table source 編集部
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