2020年度、東京23区で一番多く出された粗大ゴミが何か、ご存知だろうか。東京23区の粗大ゴミ収集量は全体で72,055トン。なかでも“布団”の廃棄が最も多く、1,029,193枚にものぼるという。粗大ごみとして廃棄された布団の多くは焼却処分されるため、処分の際に多くの二酸化炭素が発生しているのが現状だ。
そうしたなか、法人向け寝具を製造する「株式会社やよいディライト」は、行き場を失った寝具を引き取り、新たな付加価値をプラスするリサイクル寝具ブランド「tsumugi」をリリースしたことを、2022年10月27日に発表した。18年間、寝具・ユーザーと真摯に向き合い、その想いと経験に裏付けされた技術から生まれたブランドだという。
白州の天然マイクロクラスター水を用い、無洗剤で洗いあげたリサイクル羽毛は、洗浄度の高い清潔な羽毛として生まれ変わる。また、400dp以上のダウンパワーを持つ羽毛のみを選別し、ふかふかで保温性に優れた羽毛に仕立てるという。
ブランドの第一弾としての販売は、岩手県盛岡市の伝統工芸「さんさ裂織」を製造している「幸呼来japan(サッコラジャパン)」と協働。地元の祭り「さんさ踊り」で使われた破棄予定の浴衣を裂いて織りあげた生地を、羽毛布団の装飾として縫製。布団としての新たな価値を加えた商品だ。10月28日よりクラウドファンディングサービス・makuakeにて先行発売を開始している。
【商品概要】
商品:tsumugi 羽毛掛布団
装飾:さんさ裂織り
羽毛:リサイクルダウン 100%
羽毛含有率:1.4㎏
製造:全行程国内生産
価格:¥80,520(税込)
本来捨てられる羽毛布団と伝統工芸を組み合わせたアップサイクルは、持続可能な社会のための開発目標SDGs目標「11 住み続けられるまちづくりを」と関りが深く、岩手県の伝統工芸を活用し守ることで地域貢献にも繋がる。さらに廃棄量の削減や、100%国内生産を実現することによりカーボンフットプリントを削減。「12 つくる責任つかう責任」「13 気候変動に具体的な対策を」にも関連するなど、いくつもの目標を網羅した取り組みと言えるだろう。
近年、一流アスリートの使用しているマットレスや、王室御用達ブランドの枕、医療用マットレスなど、こだわりの寝具を導入し、付加価値としてPRしているホテルも多い。同時に、物を大切に使う、寿命を延ばすというアップサイクルの視点や工夫は、羽毛布団に限らず今後ますます重要視されていくはずだ。サステナブルな寝具を通して、お客さまにホテルの姿勢を伝えてみてはいかがだろうか。
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