いま、「世界中でミツバチ不足が深刻化している」というニュースを耳にしたことはないだろうか。
はちみつ・ローヤルゼリーの製造販売を行う株式会社山田養蜂場によると、日本国内でミツバチが減少しているのは、ミツバチの体に寄生するダニによる被害や、稲に使用する農薬による被害が主な原因だという。加えて、養蜂家の老齢化が進み、年々その数が少なくなってきているということも、国内のミツバチ不足に拍車をかけている。
国連環境計画(UNEP)は「世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はハチが受粉を媒介している」と報告している。植物の受粉を担うミツバチが不足することで、植物の生育や繁殖をはじめとする自然生態系に多大な影響を及ぼすことになるため、私たちはそれを食い止める必要がある。
そうしたなか、京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社は、ホテルの屋上でミツバチを飼育する「都市養蜂プロジェクト」を開始した。京都駅前に立地するTHE THOUSAND KYOTO(ザ・サウザンド京都)の屋上に巣箱を設置し、セイヨウミツバチ約10,000匹を飼育する。京都のホテルでは初めての取り組みである。
この取り組みの主な目的は、ミツバチを飼育することで京都市内の緑化や、生態系の維持に貢献すること。SDGs17目標の中の目標13「気候変動に具体的な対策を」と目標15「陸の豊かさも守ろう」に関連づいた取り組みだ。また、同時に地産地消の取り組みとして、副産物として採れたはちみつも活用する。ホテル内で瓶詰の販売や、レストランの食材としての使用、新たなスイーツ商材の開発に活かしていく予定だ。
ホテルがプロジェクトの成果であるはちみつを収穫し提供することで、お客さまが環境について考えるひとつのきっかけになるだろう。まだまだ始まったばかりの養蜂プロジェクト。同プロジェクトの今後にも、ぜひ注目していきたい。
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