ホテル屋上の「都市養蜂」を見学できるツアー。ミツバチの恵みを知るきっかけに

都市養蜂

ミツバチは自らの活動によって植物の花粉を媒介し、生態系の維持に重要な役割を果たしている。国連環境計画(UNEP)は「世界の食糧の90%を供給する100種の作物のうち、70種以上がミツバチによって受粉されている」と報告しており、私たちの食料の生産供給にも大きく関わる存在だといえるだろう。

しかし2000年代以降、ミツバチの数は減少している。農林水産省のデータによると、欧米を中心にミツバチが越冬できずに消失したり、働き蜂が幼虫や女王蜂をそのまま残して突然いなくなることで群が維持できなくなったりする「蜂郡崩壊症候群(CCD)」が多く報告されているという。

そこで近年では、都市の緑化をはじめ、生物の多様性の保全や地域の活性化につながるとして、市街地の建物の屋上でミツバチを飼育する「都市養蜂」が注目を集めている。

都市養蜂

この都市養蜂に3年あまり取り組んでいるのが、京阪グループのフラッグシップホテル「THE THOUSAND KYOTO (ザ・サウザンド京都)」だ。

THE THOUSAND KYOTOでは、2021年5月25日より「都市養蜂プロジェクト」を進めている。このプロジェクトでは、ホテルの屋上に巣箱を設置し、約10,000匹のセイヨウミツバチを飼育。京都のホテルでは初となる取り組みであり、2024年8月時点でミツバチは約60,000匹にまで繫殖している。

【関連記事】 京阪ホテルズ&リゾーツ、屋上でミツバチを飼育する「都市養蜂プロジェクト」を開始

そして、2024年9月5日からは「都市養蜂プロジェクト」の見学ツアーがスタートする。ツアーは10月31日までの期間、毎週火・木曜日に開催される。

見学ツアーでは、普段ミツバチの世話をしているホテルスタッフたちがコンダクターを務める。参加者は、まず座学で養蜂の基礎知識やミツバチの生態などを学んだ後、貸出の防護服に着替えてホテルの屋上へと移動。実際に巣箱で飼育されているミツバチの様子をじっくり観察できる。そのほか、ツアー内容にはPDF形式の都市養蜂に関する事前学習ノートや、「THOUSAND HONEY 35g小瓶」のお土産も含まれる。

【関連記事】 ザ・サウザンド京都、ホテル屋上で行う都市養蜂で採取したハチミツを発売・提供開始

参加には1週間前までの予約が必要で、すでに8月29日より受付を開始している。ただし、蜂毒アレルギーやエピペンを持つ方の参加は不可。また、安全確保の観点から屋上見学は13歳以上に限られる。

SDGs学習のための都市養蜂見学ツアー
    • 開催期間:2024年9月5日~10月31日のうち毎週火・木曜日
    • 開催時間:火曜日(10:00~11:40/13:00~14:40)木曜日(13:00~14:40)
    • 定  員:各回5名まで
    • 料  金:1名につき3,000円(税込)

詳細・オンライン予約は公式サイトより。※1週間前までに要予約、雨天中止

都市養蜂プロジェクトの担当者は、「プロジェクト発足から4年目となる今年、原点に立ち返り『都市養蜂』の意義をみなさまと共有できる場を設けたく、この見学ツアーを企画しました。」とコメントしており、企画を通じて身近なSDGsに触れる機会を創出したいとしている。

都市養蜂

THE THOUSAND KYOTOの「都市養蜂プロジェクト」は、“人にも地球にもいいものごとを、毎日の生活の中に、楽しく、無理なく、取り入れていくことができる明るい循環型社会の実現”に向けて京阪グループが推進する「BIOSTYLE PROJECT」の一環だ。

ホテルの屋上でミツバチを飼育する主な目的は、京都市内の緑化や生態系の維持保全に貢献すること。活動の成果は、SDGsの13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」と15番目の目標「陸の豊かさも守ろう」の達成につながる。同時に、副産物として取れたハチミツを瓶詰めにして商品化したり、ホテル内レストランの食材に使用したりと、地産地消にも注力している。

消費者の環境意識が高まるなか、サステナブルな取り組みに興味を持ち、実際に体験してみたいと感じるお客さまも増えている。THE THOUSAND KYOTOのように顧客体験を交えながらプロジェクトを進めることで、お客さま自身がより自分ごととして課題に向き合うきっかけになるのではないだろうか。

【関連記事】

京阪ホテルズ&リゾーツ、屋上でミツバチを飼育する「都市養蜂プロジェクト」を開始

【参照サイト】Humans must change behaviour to save bees, vital for food production – UN report
【参照サイト】農林水産省 農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取組
【参照サイト】 SDGsを学ぶ “都市養蜂見学ツアー” 予約受付を開始 京都駅前のホテルで育むミツバチの観察や巣箱の見学も

table source 編集部
table source 編集部
table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆様に向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
Share
This