近年、プラントベース(植物性)食品市場の拡大が続いている。特にヨーロッパの市場は急速に加速しており、世界のヴィーガン・ベジタリアンブームを牽引している。2021年11月の調査では、ヨーロッパの消費者の46%が肉を食べる量を減らしていることが明らかになっている。
そうしたなか、2021年12月、スターバックスUKが乳製品を含まないプラントベース(植物性)ミルクの追加料金をすべて撤廃すると発表した。今まで、豆乳以外のプラントベースミルクを選ぶ場合は0.40ポンド(約62円)の追加料金が必要だったが、1月5日からは1,020点の全店舗にて無料で提供される。
現在、スターバックスUKで提供されているプラントベースミルクは、豆乳、アーモンドミルク、ココナッツミルク、オーツミルク、オリジナルブレンドミルクの5種類。オリジナルブレンドミルクは、ヘーゼルナッツやカシューナッツなどをブレンドして作られた独自開発のブレンドミルクだ。
今回の発表は、新しいプラントベースメニューである3つのフレーバーのオーツミルクラテの発売と同時に行われたものだ。同社はプレスリリースの中で「スターバックスはカスタマイズを基本としています。今回のメニュー変更により、お客さま一人ひとりに合わせたカスタマイズが可能になり年間を通してお好きな乳製品やミルクをお選びいただけるようになります。」と述べており、選択肢を増やすことで食の多様性対応を進めている。
近年、スターバックスUKはプラントベースメニューの拡大に力を入れており、2019年には従来のホイップクリームに代わるヴィーガンホイップクリームを導入。既存商品であるパンプキンスパイスラテの、ヴィーガン仕様へのリニューアルも行なっている。
プラントベースミルクの追加料金撤廃は、スターバックスUKでのみ行われ、日本国内のスターバックスでは行われていない。しかし、今回の発表は、業界に大きな影響を与えることになるだろう。この発表の翌日、スターバックスUKの競合であるイギリスのCOSTA COFFEE(コスタコーヒー)も、プラントベースミルクの追加料金を無料にすることを発表した。対象は同社のアプリユーザーで、選択できるミルクはココナッツミルク、オーツミルク、アーモンドミルクだ。
一般的に、プラントベースミルクのカスタマイズには追加料金が必要だが、無料になることで追加料金を理由に買い控えていた人も頼みやすくなる。新規顧客やリピーターの獲得にもつながるはずだ。牛乳に比べて原価の高いプラントベースミルクだが、注文する人が増えることでまとまった量の仕入れが可能になり、コストを下げることができる。
少し前までは、アレルギー疾患のある人やヴィーガンのための食品、というイメージの強かったプラントベース食品だが、大手企業がメニューの強化を進めることで多くの人々にとっても選択肢の一つに切り替わりつつあるのではないだろうか。
【参照サイト】 Starbucks Ditches Vegan Milk Surcharge In All UK Stores After Switch4Good Spoof Campaign
【参照サイト】 New year, new platform: Starbucks UK introduces unique new Oat Latte platform – and makes all dairy alternatives free, all year round
【参照サイト】 Starbucks drops plant-based surcharge in the UK
【参照サイト】 COSTA COFFEE
【参照サイト】 Plant-based foods in Europe: What do consumers want?