日常生活のさまざまなシーンで使われるプラスチック製品は、私たちにとって身近な素材のひとつだ。その一方で、プラスチックごみによる環境汚染が深刻化している。
環境省が発表した「令和元年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」によると、1950年以降に生産されたプラスチック類は83億トン超で、63億トンがごみとして廃棄されたとの報告があった。また、毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出しているという試算や、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという試算もある。
そうしたなか、日本国内でコーヒーチェーン「スターバックス」を運営する「スターバックスコーヒージャパン株式会社」は、店内で繰り返し使えるグラスの提供を、2023年3月27日より全国約1,500店舗で開始した。これに先駆け、2022年4月に東京・渋谷エリアや大阪などの106店舗で店内グラスの提供を試験導入し、2023年2月には、東京・丸の内、銀座エリアや京都などの100店舗も追加。店舗利用者や従業員の意見を取り入れ、実施に向けた準備を進めてきた。
スターバックスの店内利用時に提供されるグラスは樹脂製で、繰り返し使える仕様だ。同店のドリンクサイズであるショート・トール、グランデ・ベンティにそれぞれ対応する2種類が用意されている。スターバックスコーヒージャパン株式会社は、店内グラスの提供を全国規模に広げることで年間約100トンの廃棄物削減を見込んでいるという。
スターバックスでは、すでにストローや使い捨てカップをプラスチック製から紙製に切り替える試みを行ってきた。また、グループ全体のグローバルな目標に「2030年までに廃棄物量を50%削減する」ことを掲げており、今回の取り組みは実現に向けたアプローチのひとつといえる。
近年、エシカル消費への関心が高まるにつれて、消費者もよりサステナブルな製品やサービスを求めている。マーケティング・リサーチ会社の株式会社マクロミルが2018年9月に行った調査によると、「環境に配慮したパッケージや製品を提供する企業はイメージが良い」と回答した人は約80%にのぼった。
スターバックスのように知名度の高い企業が率先してプラスチックごみの削減に取り組む姿勢を打ち出せば、消費者のエコな購買意欲を満たし、SDGsの目標達成にも貢献できるだろう。近年では食器のサブスクサービスや修理サービスなど、「繰り返し長く使う」ための商品やサービスが普及しつつある。企業努力の一環として、サステナブルな視点での食器類の導入を検討してみてはどうだろうか。
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