
英国放送協会(BBC)は2022年11月19日、チャールズ国王がバッキンガム宮殿やウィンザー城をはじめとした全ての王宮でのフォアグラの使用を禁止したと報じ、ヨーロッパ諸国における今後のフォアグラの在り方に注目が集まっている。カリフォルニア州やニューヨーク州などでもフォアグラが禁止されることになっており、今回の王室による禁止令はそれに続くものだといえる。
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チャールズ国王が禁止令を発表してから数週間後の2022年12月、スペインのプラントベース(植物性)ミートブランド「Hello Plant Foods」は、ヴィーガンのフォアグラ「Fuah!」の販売を開始した。
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5,000個の初回発売では、わずか12時間後にスペイン全土のスーパーマーケットや専門店で完売。第2回目の生産分3万個も完売した。Hello Plant Foodsの創設者であるJavier Fernández氏は、イギリス「The Guardian」紙に「私たちは本当に驚いています。ゆっくりと発売を始める計画でしたが、急遽生産量を7倍に増やしました。」と語っている。
公式サイトによると、「Fuah!」の材料は水、カシュー ナッツ、ココナッツ オイル、黄色レンズ豆粉、ポテト スターチ、塩、天然香料、ターメリック、アルマニャック、スクロース、スパイス、ヒマワリ油、ビートルート エキス。ガラスジャーに入った小売用と、スライスして使える500gの業務用の2種類を展開。価格は、従来のフォアグラの約半分になるという。
また、人気高級食材であるフォアグラを再現するため、発売前に800ものレシピをテストしたという。開発の段階でヴィーガンやベジタリアンだけでなく、肉を食べる人もターゲットにしている。
フランス語で「肥育したガチョウの肝臓」を意味するフォアグラ。ガチョウやアヒルのクチバシに金属のパイプを差し込む「強制給餌(ガヴァージュ)」によって作られる。近年、この生産方法が非人道的であるとして、アニマルウェルフェアの観点から世界中で問題視されている。
table sourceでも、フォアグラやキャビアなど、アニマルウェルフェアの観点や地球温暖化の影響により、今後提供ができなくなる可能性がある食材について取り上げてきた。現在、日本では当たり前に提供されていても世界では法律で規制され、輸入や生産を禁じられているという食材は少なくない。そうした食材を把握し、いち早く代替え品の導入やメニューの更新などに取り組むことで、他店との差別化やインバウンド対応につながりそうだ。
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