卵代替品開発

日本では近年、卵の価格が高止まりしている。2023年に高病原性鳥インフルエンザが大流行した際には供給不足などによって価格が高騰し、7月に過去最高値の306円を記録したことで「エッグショック」と呼ばれた。
その後、価格は一時期下がったものの、2024年後半から再び上昇。農林水産省が2025年12月16日に発表した12月の食品価格動向調査によると、サイズ混合・10個入りの鶏卵の全国平均小売価格は税込308円だった。これは現在の調査方法に変わった2012年5月以降の最高値であり、過去5年の同月平均価格と比べても27%高い。

海外でも同様の状況が見られ、ヨーロッパ地域では2025年に卵の価格が10年ぶりの高値に達した。EUの行政機関である欧州委員会の報告書によると、卵の平均価格は10月に前年同期比で20%上昇し、現在は2020〜2024年の平均より約50%高くなっている。

そうしたなか、2021年に設立されたスペインのスタートアップ企業「MOA Foodtech」が卵消費量を削減する次世代の発酵原料「MOA Q5」を開発。卵をめぐる価格や供給面での問題を解消するとともに、ますます複雑化するメーカーのアレルゲン対応を支援しようとしている。

MOA FoodtechはバイオテクノロジーとAIを組み合わせ、食品業界の副産物を高付加価値原料に変換する技術を提供するメーカーだ。独自のAIプラットフォーム「ALBATROSTM」を活用し、それぞれの副産物を発酵させるプロセスを最適化。これにより、必須アミノ酸をすべて含み、タンパク質消化率が卵と同等の0.9である栄養価の高いバイオマスを生み出せる。すでに同社はペットフードや肉代替品、スナック菓子などに使用される原料を工業規模で生産してきた。

そして今回、12月2日から4日までパリで開催された食品原料見本市のFood Ingredients Europe 2025にて、卵の新しい代替品として「MOA Q5」を発表した。
「MOA Q5」は、パンやパスタ、焼き菓子、ペストリーなどさまざまな用途において卵を使用した場合と同等の乳化、泡立ち、凝固を再現。品質を損なわずにボリュームや構造、弾力性、色、食感を維持できることから、卵と変わらない機能がある。

この卵代替品の産業用途への汎用性は高く、研究開発段階における配合変更のほか大規模な製パン工場やパスタ製造業者、アレルゲン低減プレミックスの製造業者にも最適だという。

企業にとっては、「MOA Q5」の導入によって卵および卵殻に関する表示の削除や削減が可能となり、シンプルかつわかりやすいクリーンラベルを提示できる点がメリットのひとつだ。
また、原材料に卵を使わないという選択は、アレルゲン削減を求める消費者のニーズに応えることにもつながる。さらに卵市場の変動に振り回されずに済むため、安定した生産供給サイクルを構築できるようになるだろう。

世界鶏卵機関(WEO)が公表した2024年の1人当たり年間鶏卵消費量によると、報告のあった加盟国31か国のうち、日本は前年に続き4位となった。世界的に見ても、日本は卵の消費量が多い国といえる。
だからこそ、日本の食品メーカーや飲食店においても、世界のフードテックの動向に目を向け、持続可能な食料確保について考えていくことが重要ではないだろうか。

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【参照サイト】食品価格動向調査(食肉・鶏卵):農林水産省
【参照サイト】1人当たり年間鶏卵消費量 日本は前年と同じ4位 韓国と中国が浮上 | 鶏鳴新聞 鶏卵・鶏肉・養鶏・畜産総合情報
【参照サイト】MOA Foodtech
【参照サイト】MOA Foodtech Unveils MOA Q5 — A Next-Generation Fermentation-Derived Egg Reducer, Reducing Egg in Bakery, Pastry & Pasta

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