FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では毎年生産された食料の約3分の1が、消費されることのないまま廃棄されている。特に、日本やアメリカをはじめとする先進諸国では、まだ食べられる状態の食料が大量に捨てられている。

アメリカにあるイリノイ大学では、学食で発生する食品ロスの削減に取り組んでいる。農業消費者経済学部の准教授のブレナ・エリソン氏は、従来の円形の食器からより表面積の小さい楕円形の食器に変更することで、食堂での食品ロスを大幅に削減できることを発表した。

エリソン氏の研究チームは以前、イリノイ州の大学住宅と共同で、廃棄物を減らすための啓蒙キャンペーンを行ったが成功にはいたらなかった。そこで、食器を変えることを考えたと言う。研究チームは、2つの大学住宅食堂で食器の研究を実施した。円形の食器と楕円形の食器が用意され、両方とも同じメニューを使用し、それぞれの食堂でテストを実施した。

研究チームは、1,200回以上の食事を観察した結果、楕円形の食器を使用すると、食品の選択や消費、廃棄が大幅に削減されることを発見した。食品ロスについては、円形の食器では食品の15.8%が廃棄されていたのに対し、楕円形の食器では11.8%に減少した。これは、食器あたりの食品廃棄量が約20グラム少なくなることを意味し、何千もの食事を提供する食堂にとっては大きな差だ。

農林水産省によると、日本でも1年間に東京ドーム5杯分もの食料が捨てられており、食品ロスは大きな問題になっている。今回の研究は、バイキング形式の学食での調査結果であり、すべての食事で同じ結果が出るとは限らないが、飲食店でも食器の種類や提供方法によって廃棄を減らすことができるかもしれない。

【参照サイト】Smaller plates help reduce food waste in campus dining halls | College of Agricultural, Consumer & Environmental Sciences :: University of Illinois
【参照サイト】食品ロスの現状を知る:農林水産省
【関連サイト】Impact of plate shape and size on individual food waste in a university dining hall

table source 編集部
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