コロナ禍における外食は、それ以前と比べてどのように変化しているのだろうか。2020年11月に、日本政策金融公庫が実施した「コロナ禍における外食・お店選びに関する意識調査」では、解答者の半数以上が「遠出せずに自宅・職場の近くのお店で済ませたい(52.2%)」「通い慣れた行きつけのお店を利用したい(51.1%)」と解答。外食に対して様子を見ている人が多く、地域に根付いた飲食店が好まれる傾向が見られた。
このような外食傾向を考慮すると、飲食店がコロナ禍で運営を続けるためには地域との関係性作りや、地域密着型の運営がカギとなりそうだ。
四万十川源流にある、森の国「水際のロッジ」の併設レストラン「SELVAGGIO(セルバッジオ)」は、2022年3月より地産地消サステナブルアクションを月替わりで実施。9月には地元の規格外野菜を救出するフードロス削減の取り組みを行う。
取り組みは、同系列ベーカリー「森とパン」を回収・交換場所とし、地元の規格外野菜を集めて商品と交換するというものだ。
「セルバッジオ」は、飲食店のサステナビリティレーティング国際指標「FOOD MADE GOOD」を展開する「一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会」に加盟。レストランにまつわるサステナビリティの視点を広く学びながら、持続可能なレストラン経営を目指しており、2022年は毎月サステナブルなアクションを起こしている。今回の新しい仕組み作りもその一環だ。
愛媛県にある松野町目黒集落の農家では、作り過ぎた野菜や規格外で出荷できない野菜を無駄にしない取り組みを行ってはいるものの、廃棄せざるを得ないものも多いという。 そうしたなかで、セルバッジオの取り組みとしてまずは9月の一ヶ月間、地域の農家から野菜を募集。出荷できなかった野菜は「森とパン」に持参するとポイントがもらえ、ポイントが貯まると「セルバッジオ」や「森とパン」のピッツァやパンの引換券や、畑や家の掃除を依頼できるお手伝い券に交換される仕組みだ。
フードロス対策としてSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」はじめ、間接的には2「飢餓をゼロに」にも関連した、この取り組み。店内や顧客だけでなく地域も巻き込みながら、地域内循環をさらに加速させるような役割を目指すとしている。
今回の取り組みは、飲食店という場や環境を生かした地域貢献のひとつの形といえる。店舗で飲食をするだけではなく、持参した本来廃棄される農作物がその店舗の商品に生まれ変わる仕組みの導入は、地域密着型のサステナブルな飲食店作りにもつながるだろう。
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