どの食材にもない独特な食感が魅力。希少な海藻「スーナ」の業務用販売がスタート

近年、海水温の上昇に伴い、アイゴやウニなど海藻を食べる生物の活性が高い時期が長期化。その結果、日本各地で食害が多発し、藻場(もば)が急速に減少・消失してしまう「磯焼け現象」が深刻化している。

さまざまな海藻がしげる藻場は、水生生物の成育を支え、海水を浄化する役割を担う「海のゆりかご」といわれている。

また、海藻類は二酸化炭素を吸収する海洋植物として、2009年の国連環境計画(UNEP)の報告書で「ブルーカーボン」と命名され、世界的に注目された。SDGsの14番目の目標「海の豊かさを守ろう」を達成するにあたっても、藻場の保全は重要なポイントといえるだろう。

そうしたなか、「合同会社シーベジタブル」は絶滅の危機や食文化の衰退に直面している海藻を採取し、研究してきた。環境負荷の少ない陸上栽培と海面栽培によって海藻を蘇らせ、新しい食べ方まで提案。企業活動を通じて、海藻の食文化を次世代へ引き継ぐとともに、海の生態系を豊かに育むことを目指している。

スーナ

天然での採取が難しくなった希少な海藻のひとつに、「スーナ」が挙げられる。スーナはユミガタオゴノリという海藻で、全国的には流通していないが、石垣島をはじめ沖縄周辺ではオゴノリ科の海藻の総称「スーナ」として愛されてきた。

同社はスーナに関する研究を進め、2021年から試験栽培を実施。店舗でのテスト販売を経て、安定した生産量を確保できるようになった。そこで今回、飲食店やホテルに向けて、正式に「塩蔵 スーナ」の業務用販売を開始する。2024年1月15日より、シーベジタブルの卸専用公式オンラインストアにて購入可能だ。

なお、スーナを購入する際には、公式サイトより会員登録が必要となる。

スーナは他の食材にはないシャキシャキとした食感が特徴で、サラダや冷前菜に適している。また、加熱しても食感はそのまま残り、軟骨のような歯ごたえがあるため、揚げ物や焼き物にしても楽しめるという。

シーベジタブルのプレスリリースでは、スーナを取り扱う事業者や料理人の声も紹介されており、東京都渋谷区の創和堂では、「今までのどの食材にもない独特な心地よい食感が一番の魅力だと思います。主に焼き物のあしらいに使っていますが、スーナだけをおかわりする人が続出しています。『凄く美味しいけど、これ何ですか?』と聞かれることも。」と好評だという。

また、東京都文京区にある酢飯屋の岡田大介氏は、スーナの「立体的で目をひく形、透明感のある青や紫の色、そして食べた方が驚く食感」を個性として評価。「すし・和食の観点からだけでなく、様々な食材を見渡しても、ここまで個性を揃えている食材は珍しい。」「スーナは、どんなお料理の中でもしっかりとその存在感でお客さまを喜ばせてくれます。」と語っている。

スーナ

(調理例)左:スーナブルーベリー、右:スーナとインゲンマメのツナスパゲティ

海藻類は栄養価が高いうえに、環境に優しい方法で比較的容易に栽培が可能。こうしたサステナブルな特性により、将来の食料安全保障につながるとして国内外で期待されている食材だ。

また、エシカル消費に対する関心や健康志向の高まりも、海藻類の食需要をますます拡大させるだろう。飲食店やホテルでスーナを使った料理を提供することで、海洋環境の保護に貢献できる。また他にはない珍しい食材として、国内外のゲストに新たな驚きを提供することにも繋がりそうだ。

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【参照サイト】 水産庁:藻場の働きと現状
【参照サイト】 国土交通省:ブルーカーボンとは
【参照サイト】 塩蔵 スーナ(ユミガタオゴノリ) | SEA VEGETABLE COMPANY【卸・仕入れ専用サイト】

table source 編集部
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