ホテルで食事を取る手段のひとつが、ルームサービスだ。ルームサービスでは客室に注文した料理を運んでもらえるので、人目を気にせずゆっくり食事ができる。とりわけ2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、外出や外食に対する自粛ムードが続いた。コロナ禍で旅行業界や観光業界が打撃を受けるなか、ホテルにおけるルームサービスの需要に変化はあったのだろうか。
2023年4月、世界各国の宿泊施設の予約サービスを提供する「Hotels.com(ホテルズドットコム)」は、世界10ヶ国における473軒のホテルを対象にオンラインで「ホテルのルームサービスに関する国際調査」を実施した。今回、調査対象となった国はアメリカ、イギリス、フランス、カナダ、メキシコ、韓国、日本、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク。日本はもちろん欧米からアジアまで、広範囲に及ぶルームサービスの利用傾向が明らかになった。
Hotels.comの報告によると、過去1年間でルームサービスの需要が「増加した」と回答したホテルは、全体の約40%を占めている。このうち、日本のホテルでは63%が「増加した」と回答した。
先述した新型コロナウイルス感染症の影響によって、宿泊施設で休暇を過ごす「ステイケーション」が話題となったように、ウィズコロナの動きがルームサービスの需要拡大につながったとも考えられる。
さらに、Hotels.comは、ホテルのルームサービスにおけるメニュー内容に着目。過去1年間に注文されたメニューについて、世界のホテルでは15%がヴィーガンメニュー、19%がベジタリアンメニューの注文が増加したという。また、日本のホテルでも29%がヴィーガンメニュー、24%がベジタリアンメニューの注文が増加したと回答した。
「フードダイバーシティ」と呼ばれる食の多様性に対応するべく、ヴィーガンやベジタリアン向けのメニューを扱うホテルが増えているとともに、消費者の健康やウェルネスに対する意識も高まっている様子がうかがえる。
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株式会社フレンバシーが行った2023年の調査によると、日本におけるヴィーガン・ベジタリアン人口は2017年に1.0%だったのに対し、2023年には全体の5.9%に増加。また、週に1回以上、意識的に動物性食品を減らす「フレキシタリアン」は全体の19.9%にのぼったという。
これまでも、日本のホテルでは、海外からの観光客に向けてヴィーガンやベジタリアンへの対応が求められてきた。今後はインバウンド需要だけでなく、フードダイバーシティの対応策として、ヴィーガンやベジタリアン向けのルームサービスを充実させる必要がありそうだ。
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