石垣島と西表島の間に広がる日本最大のサンゴ礁、石西礁湖(せきせいしょうこ)。その海域は南北約20km、東西約30kmにも及び、竹富島や黒島などの島々が点在している。また、日本で確認されている約430種の造礁サンゴのうち、8割にのぼる360種類以上が、石西礁湖を含む八重山諸島海域に生息しているという。サンゴ礁は多くの生き物たちにとって採餌や繁殖に適した場であり、まさに“海の楽園”だ。
しかし近年、石西礁湖ではサンゴの白化現象が深刻な問題となっている。白化現象とは、サンゴと共生する褐虫藻が抜け出て、サンゴが白っぽく変化すること。この状況が続けば、サンゴが死滅してしまう。
石西礁湖におけるサンゴ白化現象を把握するため、2022年12月に環境省が実施した調査によると、全調査地点の平均白化率は50.2%だった。2022年9月の調査時は92.8%だったのに対して42.6ポイント低下しており、白化からの回復傾向がみられる。
一方で、生きたサンゴが海底を覆う面積の割合を示す被度は、9月の調査結果である21.6%から4.6ポイント下がり、17.0%だった。
海水温の変動や台風の接近といった気候条件の影響も踏まえれば、サンゴの白化現象が収まりつつあるとは決していえないだろう。こうした環境問題から日本のサンゴ礁を守るには、まずサンゴについて正しく知る機会が必要だ。
そうしたなか、星野リゾートが運営する沖縄県八重山諸島の「星野リゾート リゾナーレ小浜島」では、美しい海を支えるサンゴについて楽しく学ぶプログラム「珊瑚Academy ~夏休みの自由研究~」の開催を発表した。昨年に引き続き開催される環境学習プログラムは、2024年7月29日から8月31日の間、毎週月曜日と水曜日に行われる。
このプログラムは「サンゴ学習推進団体 わくわくサンゴ石垣島」代表の大堀則子氏が監修したもの。同団体は、石垣島を拠点に、小中学生を対象としてサンゴについて体験的手法で学べる「サンゴ学習」を実施している。
プログラムでは、まずサンゴの生態や環境の変化について、スタッフがカラフルなイラストを使ってレクチャーする。そして、海岸に打ちあがった漂着物を拾って観察するビーチコーミングを通して、サンゴを取り巻く環境についても学ぶという流れだ。
その後は石西礁湖に向かい、シュノーケリングに挑戦。海の中で生きているサンゴを間近に見ることで、亜熱帯の海洋生物たちと関わるサンゴの重要性をより深く理解できる。
最後に、学んだことや気づいたことをワークシートにまとめて、プログラムは終了。体験後はワークシートや本で自ら学習をすることで、自由研究が完成する。
- 期間:2024年7月29日~8月31日の毎週月曜日、水曜日
- 時間:9:00~12:00、14:00~17:00
- 料金:小学生1名12,100円(税込)
- 含まれるもの:レクチャー、ビーチコーミング、シュノーケリング、キラキラワークシート
- 対象:小学生の宿泊者 ※6歳~9歳推奨
- 定員:各回6名まで
予約は公式サイトにて、7日前まで受け付ける。なお、天候や海の状況によっては開催中止となる場合もあるので、注意してほしい。
星野リゾートは、本プログラムの開催によってSDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」と、目標14「海の豊かさを守ろう」の達成に貢献したいとしている。
プログラムに参加した子どもたちが、サンゴ礁の危機を身近な環境問題として認識するようになれば、解決に向けた取り組みにも関心を持ちやすくなるだろう。実際に、2021年10月の親子を対象に実施した調査によると、中高生の88.6%が環境問題に対して「行動したい」、62.4%が「もっと環境問題について学びたい」と回答。親世代に比べ、子ども世代では環境問題を自分ごととして認識している傾向が強いことが明らかになった。
こうした若年層の環境意識をさらに磨いていくには、親世代への働きかけも欠かせない。宿泊業や観光業が中心となり、サステナブルな体験学習プランを打ち出してみてはどうだろうか。
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【参照サイト】 【星野リゾート リゾナーレ小浜島】美しい海を支えるサンゴについて楽しく学ぶ「珊瑚Academy ~夏休みの自由研究~」を今年も開催|期間:2024年7月29日~8月31日の毎週月曜日、水曜日
【参照サイト】 石西礁湖ポータルウェブサイト
【参照サイト】 石西礁湖自然再生協議会について
【参照サイト】 石西礁湖のサンゴ白化現象の2022年12月調査結果について
【参照サイト】 日本最大級・石西礁湖のサンゴ、白化から回復 22年12月の白化率50%、同年9月の92%から大幅に低下 沖縄ー琉球新報デジタル
【参照サイト】 わくわくサンゴ石垣島 サンゴ学習推進団体
【参照サイト】 「環境問題に対する親子の意識調査」を実施 「環境問題はかなり重要」と答えた6割の子どもに対し、親は4割と少ない結果に