不要になった漁具を、太陽光発電の基盤の材料に。海洋プラスチック削減へ

REMARE

世界中で深刻化する環境問題のひとつに、海洋汚染が挙げられる。その原因として問題視されているのが、海洋プラスチックだ。大量のプラスチックごみが海に流出することで、地球環境に与える影響は大きい。

例えば、漁具は主にプラスチックで作られており、一度流出すると何年もの間原型を留めたまま海の中を漂い続ける。不要になり流出した漁具は「ゴーストギア(幽霊漁具)」と呼ばれ、意図せず海洋生物を捕獲し殺してしまう「ゴーストフィッシング」という現象を引き起こしている。

実際に、カリフォルニアとハワイの間の亜熱帯海域では「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる世界最大規模の漂流ごみのたまり場が形成されており、辿り着く漂着物のうち、半数近くが漁具だという。こうした流出漁具を放置すれば、海洋生物の命が脅かされるだけでなく、水産資源の枯渇も進行してしまうだろう。

【関連記事】 想像以上に深刻。魚を取り巻く問題解決のために、飲食店ができること

REMARE

もちろん日本も、ゴーストフィッシングの問題と無関係ではない。実は、日本における海洋プラスチックの6割を占めるのは、不要となった漁具だとされている。

こうした現状を踏まえ、日本政府は「プラスチック資源循環戦略」を制定。重点戦略には「漁具等の陸域回収徹底」が盛り込まれ、漁具の適切な管理やリサイクル技術の必要性を広く呼びかけている。

漁具が海に流出するのを防ぐためには、漁業関係者の意識を高めるとともに、企業で技術開発に取り組むことも重要だ。

REMARE

そうしたなか、「株式会社REMARE」は、独自の技術を用いて不要漁具を再資源化することに成功。ペレットをはじめとしてまくら木やゴミ袋、内装材など、さまざまな製品へと作り変えてきた。美容院で用いられる眼鏡置きや、飲食店におけるトレイ、家具なども製造している。

そして今後、株式会社REMAREは、さらにサステナブルなプロジェクトを始めようとしている。その内容とは、水上における太陽光発電で、不要漁具の再資源化素材を使って発電パネルを支える浮体を製造するというものだ。

プロジェクトが実現すれば、本来回収されても焼却処分されていたであろう不要漁具を、自然エネルギーを生成する基盤として有効活用できる。これにより、不要漁具のリサイクル促進はもちろん、CO2排出量の削減にもつながるだろう。

REMARE

流出すれば海の生態系を破壊しかねないうえに、処分時にはCO2排出の要因ともなる不要漁具。こうしたプラスチックごみの持つ負の側面に対し、企業が解決策を示すことで、生産者や消費者がエシカルな行動を実践できる。

欲しい時にいつでも、必要な水産物が調達できるという現状は決して当たり前ではない。飲食店やホテルとしても、不要漁具のもたらす影響や、そうした問題を解決するための取り組みについて知っておくことが必要なのではないだろうか。

【関連記事】

想像以上に深刻。魚を取り巻く問題解決のために、飲食店ができること

【参照サイト】 エネルギーの再循環! 海洋プラスチック(不要漁具)を素材に、太陽光発電の基盤を製造
【参照サイト】 漁具の海洋流出を防ぐ枠組み目指し、基本合意を締結
【参照サイト】 環境省:「プラスチック資源循環戦略」の策定について

table source 編集部
table source 編集部
table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆さまに向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
Share
This