コロナ禍の2020年6月、世界中27,000人を対象に、健康で持続可能な生活に関する世論調査が実施された。調査によると、多くの回答者が「持続可能で健康な行動を起こしたいと思っても、どこから始めればいいかわからない」と感じていることが明らかになっている。また、約50%の人々が、「企業は環境のために持続可能な製品やサービスを、もっと手頃な価格で提供するべきだ」と回答した。
環境に優しい食品としても注目を集めるプラントベース(植物性)食品だが、日常的に食卓に並ぶには、まだ価格の壁がある。アメリカのデジタルメディア会社VOXによると、2019年時点で米国のスーパーで販売されている代替肉の平均価格は、1ポンド(約454g)9. 87米ドル(約1,075円)だという。一方で、牛肉は4. 82米ドル(約525円)、鶏肉は米2. 33ドル(約254円)と更に安価だ。プラントベースミートを購入してみたいと思っても、鶏肉の値段と比べて足踏みしてしまったという経験がある人も多いのではないだろうか。
そうした鶏肉に味も価格も取って代わるプラントベースミートを目指し、米国ワシントン州シアトルのプラントベース食品メーカー「Rebellyous Foods」は高品質の植物性ナゲットを大量生産できる独自技術を開発したことを2022年4月に発表した。生産の自動化を強化することで、製造工程で大幅なコスト削減や、労働力を90%削減。冷却環境が不要なため、エネルギーコストを10%削減し、スペースも3割縮小できる。一貫した生産基準により、無駄な材料も90%減少。製造費を大幅に抑えることで、消費者にも購入しやすい価格設定を実現する。こうした独自の自動化技術で、現在5つの特許も申請中だ。
40以上の国で大手経営コンサルティングを行う Kearney社の調査では、プラントベースミートの価格が1%下がる毎に、その市場シェアは3%増加すると推測されている。
Rebellyous Foodsは現在、ナゲットに加え、パティとテンダーなど全製品の経費を削減することに尽力しているという。その画期的な製造技術により、プラントベースミートが消費者により身近になるだけでなく、鶏肉に代わる主力商品となる日も近いかもしれない。
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