山梨の未利用杉をアップサイクルした炭酸水が発売。健康な森林と土壌づくりに貢献

キノソーダ

今、日本で「放置森林」の問題が深刻化しているのをご存知だろうか。日本では戦後、復興に伴う木材の需要を補うために、国策によって大量の針葉樹が植林された。しかし、輸入自由化によって海外から安価な木材が入るようになり、植林された木材の70%は伐採されることなく放置されているのが現状だ。

伐採されずに育った樹木は森に入る日光を遮るため、森林の生態系を崩してしまいかねない。さらに、放置森林によって土壌の質が低下し、土砂災害のリスクが高まったり、飲み水の品質に影響を及ぼしたりする可能性もある。

日本の森林を守るには、木を間伐して環境を整備するとともに、間伐材の有効な活用方法を模索することが求められている。

キノソーダ

そうした森林環境の問題解決に取り組むため、2011年に創業した企画デザイン会社「株式会社fabriq(ファブリック)」では、「木を使い・山を育て・水を守る」をビジョンに掲げ、木の新しい活用方法を発明する地域共創プロジェクト「QINO(キノ)」を展開している。

2021年7月には、石川県白山市の廃棄予定のクロモジ蒸留水を使った炭酸水「QINO SODA(キノソーダ)」を発表。今回はその第二弾として、山梨県富士山麓の杉の未利用部をアップサイクルしたプレミアムスパークリングウォーター「QINO SODA(キノソーダ)-杉- 富士山麓」が、“木の日”である2023年10月8日に発売された。

キノソーダ

QINO SODA-杉- 富士山麓は、富士山麓の未利用杉から生まれた、無糖のプレミアムスパークリングウォーターだ。スモーキーで野生味あふれる杉ならではの香りで、料理との新しいペアリングを楽しむことができる。

香料に使われるのは、都市部の水源地である山梨県南都留郡で間伐した杉の未利用部。木材として出荷されない部分をアップサイクルすれば、間伐材の消費が促進される。そして次の木を植えることで健康な森林と土壌が育ち、ミネラル豊富でおいしい水が生まれるサイクルを形成できるだろう。

また、QINO SODA1本あたり10円は森づくりに充てられ、植林用の苗木代に使われる。消費者は五感で木をあじわいながら、森林の環境保全活動に貢献できる。

キノソーダ

「food creation」を主宰する諏訪綾子氏

今回の開発にあたっては、山梨県道志村を活動拠点とするアーティスト・諏訪綾子氏が主宰する「food creation(フードクリエイション)」とコラボレーションし、山梨県都留市で林業を軸に活動する「一般社団法人Forest Tribes(フォレストトライブス)」と共創。

発売日である10月8日には、東京ビエンナーレ2023の会場にて開催される「水源の森からマルシェ」内QINO BAR(キノバー)にて、1日限定の特別販売を実施した。

こうした森林を育てる活動は、私たちの生活に欠かせない水源を守ることにもつながる大切な取り組みだ。ホテルや飲食店でも、間伐材をアップサイクルした飲料を採用しお客さまに提供することで、サステナブルな森づくりを支援してみてはどうだろうか。
 
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【参照サイト】 山梨の未利用杉をアップサイクルした、木を飲むソーダ「QINO SODA -杉- 富士山麓」を10/8 “木の日“に発売

table source 編集部
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