
世界中で気候変動の影響が顕在化されている現在、畜産業界が排出する温室効果ガスの地球温暖化にもたらす影響が懸念されている。牛は胃で餌を消化する際、温室効果がCO2の25倍もあるメタンガスを発生させ、げっぷで放出する。牛1頭がげっぷとして放出するメタンガスの量は、1日300〜500リットルといわれる。牛は地球上に約15億頭も存在し、そのほとんどは乳牛や肉牛として飼育されている。
畜産業界から排出されるによる温室効果ガスの排出量を削減するため、牛肉を食べない人やヴィーガンを選択する人が増えている。しかし、いくら環境のためとはいえ、今まで美味しく食べていた牛肉を我慢することが難しいという人もいるのではないだろうか。
英国のテック系スタートアップ「Deep Branch」は、牛肉を食べることを我慢するという以外に、新たな解決策を提示する。それは、温室効果ガスの一つであるCO2から代替タンパク質「Proton」をつくり、家畜の飼料にするというものだ。

Image via Drax
英国の再生可能エネルギー発電所「Drax」と連携して、発電所で回収されたCO2を使用してProtonの製造を始めている。Protonは魚粉に匹敵する栄養価で、家畜の飼料として問題ないという。また、魚粉や大豆とは異なり、季節による収量や価格の変動がない。
回収されたCO2を使って育てられた牛の肉やミルクを頂くことは、地球温暖化対策の一つの方法として有効だろう。まずは排出されるCO2を削減することが第一だが、どうしても排出されてしまうCO2をアップサイクルする技術に今後も注目したい。
【参照サイト】 Deep Branch
【参照サイト】 New carbon capture technology could help industry and agricultural sector decarbonise – Drax
【参照サイト】 気になる数字をチェック! 第2回 『500 リットル』
(2021年8月11日 追記) 牛1頭がげっぷとして放出するメタンガスの量を1日160~320リットルと記載していましたが、引用元を見直し1日300~500リットルに修正しました。訂正し、お詫び申し上げます。