飛行機は、グローバルな人材交流や物流に欠かせない交通手段のひとつだ。特に、旅行や出張の際に旅客機を利用する人も多いだろう。一方で、現役を引退した旅客機は解体して部品をリサイクルすることができるが、そのまま廃棄、放置されてしまうケースもある。
SDGsの目標を達成するためには、世界各国で廃棄物の削減に取り組むことが重要だ。内閣府が2009年6月に実施した環境問題に関する世論調査によると、ごみの問題に「関心がある」と回答した人は92.4%だった。2001年7月に実施した前回調査の結果と比べると、ごみの問題に関心がある人の割合が増加しているという。環境問題に対する人々の関心が高まるにつれて、廃棄物削減を図る企業の活動も注目されるのではないだろうか。
そうしたなか、リゾート地として人気の高いインドネシアのバリ島に、退役後の旅客機を改造した貸別荘「Private Jet Villa(プライベート・ジェット・ヴィラ)」が2023年4月にオープンした。貸別荘の開発を手掛けたのは、起業家のFelix Demin氏。かつてインドネシアのLCCで運用されていた小型旅客機ボーイング737の機体を買い取り、高級ホテルとして生まれ変わらせた。
機体はバリ島南端のニャンニャンビーチに面する断崖に設置されており、ヴィラの目前にはオーシャンビューが広がる。また、操縦室がトイレに、コックピットがバスルームに作り替えられ、旅客機ならではの構造を上手く活用しているところも魅力的だ。
オンライン旅行通販サイト「エクスペディア」にある同ホテルのページによると、料金は1泊約97万円から。旅客機をアップサイクルした豪華なヴィラは、インドネシアの観光業における大きな目玉となるだろう。同時に、人気リゾート地で特別感のあるサステナブルな宿泊体験ができるとして、エシカル消費へのニーズにも応えられる。ホテルや旅館を経営する企業がこうした廃棄物の活用事例を参考にすることで、観光業界全体のサステナビリティ向上にもつながりそうだ。
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【参照サイト】 「旅客機ボーイング737が豪華ホテルに生まれ変わる」バリ島のビーチを一望、空中庭園も
【参照サイト】 Expedia.co.id:Private Jet Villa