イギリス、ジャガイモ栽培が存続の危機。地球温暖化による農業への影響をBCCが報道

「国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は2021年8月9日、2021年から2040年に世界の気温上昇が1.5度に達するとの予測を発表した。これは18世紀に始まった産業革命前の気温と比較したもので、2018年の報告書と比べて予測は10年早まり、気温上昇を抑えることの難しさが改めてあらわになった。

気候変動の影響を多大に受けやすいとされるのが、農業だ。「英国放送協会(BBC)」は2022年10月20日、気候変動の影響により、今後数年間イギリスでのジャガイモ栽培が困難になる可能性があると報じた。

イギリスにおけるジャガイモ製品の年間小売価格は、20億ポンド(約3,333億円)以上にのぼり、伝統料理である「フィッシュ・アンド・チップス」をはじめとしたさまざま料理に欠かせない作物だ。ジャガイモは一般的に冷涼な気候で育ち、スコットランドではイギリスの4分の1のジャガイモが生産される。中でもローストポテトやマッシュポテトに最適な「マリス・パイパー」や、煮物やサラダに使用される「エアシャー」の2種が、気温上昇により生産が存続できなくなると危惧されている。

この事態を救おうと研究を進めているのが、スコットランドのダンディー市郊外のインバーゴウリーに位置する研究所「The James Hutton Institute(JHI)」だ。同事務局長のレズリー・トーランス教授によると、JHIの実験農場では、世界中の多種多様なジャガイモの成長を研究。ジャガイモ栽培の起源とされる、南米アンデス山脈で育つ品種のジャガイモについて、耐熱性や耐乾燥性、害虫や病害への抵抗力などの特徴分析を進めている。

また、植物の熱に対するストレス日数をモデル化したJHIの実験によると、ジャガイモは気温が25度以上になると成長を中断し熱ストレスと戦うことに注力するため、収穫量が減少するという。2030年までに、ジャガイモが生育期間中に60日間の熱ストレスにさらされるとみられており、イングランドの南部と東部、スコットランドに多大な影響が危惧されている。現在、気温上昇にも適応できる、新品種のジャガイモの迅速な開発が待望されている。

ジャガイモの他にも、年々深刻化する地球温暖化の影響により、今後さまざまな食材の入手が困難になる可能性がある。こうした現状を知り、まずは小さなことからでも環境に配慮した取り組みを始める必要があるだろう。
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【参照サイト】気温1.5度上昇、10年早まり21~40年に IPCC報告書

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