日々、家庭や職場などから大量のごみが排出されている。中でも、容器包装のごみが占める割合が多く、環境省によると容積比率では容器包装のごみが56.6%、湿重量比率では一般廃棄物の約2割を占める。そのため、容器包装を無くし、ごみが排出されない仕組みにすれば、容積比率でいえば、一般廃棄物のごみが半減することになる。
米国のスタートアップ企業Plusが開発したのは、100%溶解可能で、廃棄物を発生させないなボディウォッシュだ。紙製のパッケージから薄いシート状の紙を取り出し、シートを水に触れさせると泡立つ。パッケージは、浴室の床に落としてそのまま水に流せば水に溶けるという。
この製品を開発した目的は2つある。1つは、水を輸送するためのコストを削減するためだ。通常、ボディウォッシュは容器に入っているため、輸送する際にはかさばってしまうが、Plusは薄いため、かさばらず、一度に多く輸送できる。そして2つ目の目的は、使い捨てプラスチック包装を削減するためだ。同商品にはプラスチックが含まれていないという。この軽量でプラスチックを必要としない設計により、CO2排出量が約8割削減できる。
紙状のパッケージの原料も環境に配慮されている。森林再生プロジェクトの木材パルプを使用しており、CO2排出量の110%を削減できる。パッケージに使われる文字は溶解性インクで印刷され、水に流しても問題ない。
「容器包装を削減したいのなら、固形石鹸を使えば良いのではないか。」そう思う読者も少なからずいるだろう。しかし、Plusはさまざまな理由から固形石鹸を使いたくない消費者を念頭に置く。いくら環境のためとはいえ、使いたくないものを無理に使う必要はない。環境に優しく、かつ使いたいと思える製品を消費者が自由に選べるよう、選択肢を増やすことが、持続可能な社会を作る上で求められているのではないだろうか。
【参照サイト】Plus公式サイト