内閣府の食堂で代替肉のメニューが提供されているということをご存知だろうか。自由民主党広報本部長の河野太郎氏は食堂のメニューを「代替肉」だと気付かずに食べることもしばしばあったという。このように代替肉がこれまでに比べて普及していたり、商品自体の品質が改善されたりしているなかで、表示方法のガイドラインが明確でないことが課題となっていた。
2021年8月には、当時の内閣府特命担当大臣である河野氏が記者会見で、「プラントベース食品表示の明確化のため『プラントベース食品等の表示に関するQ&A』を作成する」と発表した。河野氏は、健康志向や環境志向によって、世界中で新技術食品やフードテックに関心が高まっているなかで、業界に対する日本の規制が追いついていないことが市場の発展に影響していると述べ、プラントベース食品(植物性食品)表示の明確化の必要性を訴えた。
プラントベース食品の市場性については、イギリスのバークレイズ銀行の試算では、2029年までに世界で販売される肉全体の10%、15兆円相当が「代替肉」に置き換えられ、市場が拡大するということから、今後の消費に影響が出てくると発言。環境面でも、プラントベース食品の普及が、食糧問題や気候変動の解決にプラスに働くという効果があり、今後世界的に需要が大きく拡大することが見込まれると述べた。
そうしたなか、同氏は食品やメニューの表示に関する規制が明確ではなく、事業展開の足かせになっていることに着目し、直轄チームと消費者庁で調整し、政府として初めて「プラントベース食品等の表示に関するQ&A」を作成することにした。このQ&Aには動物性タンパク質不使用でありながら、商品名に「肉」や「魚」「乳」などがつく場合、一般消費者が誤認しないよう「原材料は植物性です」と表記を加えることなどが示されている。
ヴィーガンやベジタリアン対応のために、既にプラントベース食品を導入している飲食店も多いなかで、表記の方法が定まらず、どう記載して良いのか分からないと感じていた事業者もあったのではないだろうか。今回、政府が作成したQ&Aを活用することで、国内のプラントベース食品の市場が発展することを期待したい。