2019年の使い捨てプラスチックの廃棄量は世界全体で約1億3000万トン。そのうち、日本の年間総廃棄量は431万トンを占めており、世界第4位の多さだ。日本は世界的にも、多くのプラスチックを使い捨てている国だと言える。「法律が施行されたから」「罰則があるから」取り組むのではなく、持続可能な環境への責任を果たすため一人一人が取り組まなくてはいけない問題だ。
「脱プラスチック」への意識が高まるなか、世界中でバイオプラスチックに注目が集まっている。飲食店のテイクアウト用資材など、実用化が進んでおり、活用事例も増えてきている。一方で、通常のバイオプラスチックは耐熱性が低く、熱い飲料や食品を入れることができないといった課題があった。
そうしたなか環境配慮型素材開発ベンチャーの「株式会社カミーノ」は、植物由来でありながら日常使用に耐えうる120℃の耐熱性を実現した「PAPLUS®プラスチックフリータンブラー」を開発。
PAPLUS®は、紙とトウモロコシのでんぷんから作られる植物由来生分解性樹脂であるポリ乳酸(PLA)を原料として作られた、プラスチックフリーの環境配慮型素材。PAPLUS®製品が破損したり、不用になった場合にはカミーノ社のリサイクル窓口に返送すると再原料化され、新たな製品として生まれ変わることが可能だ。
また、回収されず焼却されたとしても、PAPLUS®は植物成分を86%~99.5%有するカーボンニュートラルな素材であり、従来の石油由来プラスチックに比べ約80%CO2の排出を削減することができるという。
2023年3月23日には、「株式会社ピカ」が運営するリゾート事業「PICAリゾート」の会員サービス「PICA MEMBERS+」の上位会員向けギフトとして、プラスチックフリータンブラーを納入している。PICA山中湖では、会員向けとは別デザインで商品としても販売中だ。
今回タンブラーを採用した株式会社ピカは、資源の循環、環境配慮型商品をいち早く取り入れ、その他さまざまな環境保全への取り組みを実施している企業。プレスリリースのなかで運営事業本部の渡邉氏は、PAPLUS®を採用した経緯として、「PAPLUS®の『回収』『再製品化』『トレサビリティ』が弊社の思いと通じる部分が大きく、弊社会員様、顧客の皆様に共感いただけると感じ採用させていただきました。」とコメントしている。
2022年6月には、アメリカ・カリフォルニア州で、「2032年1月1日までに全ての使い捨てプラスチック食器の使用量を25%減少させ、州内のすべての梱包材をリサイクルまたはコンポスト可能なものにすることを義務付ける」という厳しい法律が施行された。
【関連サイト】 全ての包装材をリサイクルや堆肥化可能に。カリフォルニアでプラ削減新法案が施行
カリフォルニア州はかねてからプラスチック削減に積極的に取り組んでおり、他の州がそれに続くことが予想されている。日本にも今後そうした影響が波及する可能性があると言われている。飲食店としても今のうちからぜひ、プラスチックに替わるさまざまな選択肢や可能性を視野に入れておきたい。
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【参考サイト】 一般社団法人:日本エシカル推進協議会