2020年、77億9500万人であった世界の人口は、2030年には85億5千万人に達すると見込まれている。今後こうした人口拡大に伴う食料資源やエネルギーの需要のひっ迫や地球温暖化などの環境汚染が懸念されている。また、2015年9月に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の目標のひとつに「2030年までに、飢餓とあらゆる栄養不良に終止符を打ち、持続可能な食料生産を達成すること」が組み込まれるなど、世界的に食糧危機に対する問題意識が高まっている。

一方で、農林水産省による食品廃棄物等の利用状況に関する推計によれば、食品由来の廃棄物は年間2531万トン排出される。そのうち、食品ロスとして廃棄されている食品の可食部は600万トンにものぼり、今後、より具体的な食品ロス対策が求められるのが現状だ。

こうしたなか、2022年4月28日、株式会社ホテルオークラ東京が運営するThe Okura Tokyoは、2022年5月1日~10月31日の間、特定の飼育をされた銘柄牛「オークラ牛」を使用したレストランメニューリレーを開始することを発表した。

「オークラ牛」とは、島根県益田市の松永牧場でThe Okura Tokyoのために特別に飼育された但馬系の雌牛である。但馬系血統は脂の融点が低いため口溶けが良く、肉のうま味や甘みが濃厚で和牛独特の芳しい香りの余韻が長く続くことが特徴であるという。また、メーカーから受け入れる酒粕や果実、そうめん、おからなどの食品残渣を牧場内のプラントで発酵させたサステナブルな飼料によって育てられており、高品質とサステナブルの両立を実現させた銘柄牛だ。

The Okura Tokyoでは、この「オークラ牛」を一頭買いで購入し、各店舗のメニューに合わせた部位を分け合うことで、一頭を食材として無駄なく使い切ることができるという。

今回開催されるレストランメニューリレーでは、ひと月ずつ延べ7店舗で、オークラ牛を使用したメニューを提供。

5月:鉄板焼「さざんか」(創業60周年コースメニュー「薄切りリブロース さざんか風」のオークラ牛アレンジを含めたコース)
6月:中国料理「桃花林」(牛しゃぶ冷やしそば)
7月:日本料理「山里」(会席、ア・ラ・カルト)
8月:オールデイダイニング「オーキッド」および メインバー「オーキッドバー」(仔牛のカツレツなど)
9月:フランス料理「ヌーヴェル・エポック」(ダブルコンソメ)
10月:バーラウンジ「スターライト」(ア・ラ・カルト)

また、上記レストランの月ごとの展開以外に、テイクアウト商品も販売される。

The Okura Tokyoは、2022年に開業60周年を迎えるにあたり、これを「SDGsアクション元年」とし、今回のオークラ牛に関する取り組みの他にもサステナビリティに関わる様々な取り組みを行っている。サステナビリティに積極的なThe Okura Tokyoの今後の取り組みにも期待したい。

【関連記事】

環境に、牛に、生産者に利点。メタンガスを抑制する、出光興産の機能性飼料「ルミナップ」

【参照サイト】 The Okura Tokyo オークラ牛のご紹介
【参照サイト】【The Okura Tokyo】本物の味を伝えるSDGs食材「オークラ牛」レストラン・バーで5~10月に順次提供
【参照サイト】 【The Okura Tokyo】開業60周年の取り組み 2022年をSDGsアクション元年に 第一弾はCO₂ゼロイベント
【参照サイト】 農林水産省 食品廃棄物等の利用状況等(平成30年度推計)<概念図>
【参照サイト】 農林水産省 食品ロスとは

table source 編集部
table source 編集部
table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆様に向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
Share
This