いま、オーツミルクや豆乳、ライスミルク、アーモンドミルクなどの植物性ミルクが、健康や環境への配慮から世界的に市場規模が拡大している。
オックスフォード大学の研究によると、毎日コップ1杯の牛乳を1年間生産するには、テニスコート2面分に相当する650平方メートルの土地が必要で、同じ量のオーツミルクを生産した際の10倍以上になるという。さらには、牛乳1杯を生産することで、オーツミルクの約3倍の温室効果ガスが排出されてしまうといったデータもある。

ドイツ・ベルリンを拠点とするフードテック企業「Blue Farm」は、環境負荷を低減するため2021年1月からパウダー状のオーツミルク「Oat Base」を販売している。755グラム入りのパウダーからは、約8リットルのオーツミルクを作ることができる。

重いカートンやボトルに入った液状のオーツミルクに比べると軽くコンパクトなパウダーは、包装廃棄物や輸送時のCO2排出量を削減することができる。さらに、飲みたいときに水を加えて、必要な分量だけを手軽に作ることができるので、食品ロスの問題にも対応している。また、パッケージには、他の素材と混合されていない再生プラスチックが使用されているので、100%リサイクルが可能だ。

牛乳と比べて環境負荷が低いだけではなく、糖質が少なく食物繊維が豊富なオーツミルク。「Oat Base」はパウダー状にする工夫を加えることで、さらに効果を高めている。残念ながら現時点で「Oat Base」は日本への発送には対応していないが、今後、いっそうオーツミルクの市場が国内で拡大することで、日本への参入可能性もあるかもしれない。

健康や環境のために動物由来のミルクを“選択しない”ことよりも、選択肢を増やすことで、各々の考え方やライフスタイルに合わせて“選ぶこと”を楽しみたい。

【参照サイト】Blue Farm
【参照サイト】Climate change: Which vegan milk is best?(BBC)

table source 編集部
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