ニセコの水と北海道産の海藻から生まれた「ヴィーガンキャビア」の販売がスタート

ヴィーガン キャビア

チョウザメの卵を原材料とするキャビアは、世界三大珍味として人気のある高級食材だ。しかし近年、生息地の環境悪化やキャビアに加工するための卵の乱獲などにより、チョウザメの個体数が急激に減少。27種のチョウザメは、すべて国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに掲載されている。

また、すでに絶滅してしまった種類もあり、チョウザメは深刻な絶滅の危機に直面している。さらに、チョウザメのなかには産卵期間に4半世紀を要する種類もあることから、養殖が追いつかず、キャビアの需要が供給を上回っている状況だという。

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このままではいずれ、飲食店でキャビアを提供できなくなるかもしれない。そうした背景から、世界ではキャビアの代替品や培養技術を開発する動きが進んでいる。

ヴィーガン キャビア

日本にも、SDGsを指針として商品開発を行うフードテック企業がある。「株式会社Dr.Foods(ドクターフーズ)」は、キャビアのように環境問題の影響が大きい食材を完全植物性で再現しようとしている。

今回、同社はニセコの素材を活かした「ニセコヴィーガンキャビア」を開発。その発売にあたって、2024年2月14日にニセコ町役場にて記者会見を実施した。

ニセコヴィーガンキャビアは、ニセコの水と北海道産の海藻から作られた完全植物性のキャビアだ。2023年に株式会社Dr.Foodsが開発・販売し、全国30以上のホテルやレストランに採用されている「ヴィーガン・キャビア」に対し、来日する富裕層や観光客などへのお土産・贈答用として開発された。硬度が低いニセコの軟水を使用することで、これまでより口当たりの滑らかさがアップしているという。

ヴィーガン キャビア

ニセコ町役場での記者会見

コロナ禍を経て、世界中の富裕層から人気を集める観光地となっている北海道のニセコ町。国から「SDGs未来都市」にも選定されている。そのため、ニセコ特有の素材を使用して持続可能な商品を製造・販売する取り組みは、企業のサステナビリティと合致するといえるだろう。

ホテルやレストランの華やかな料理に欠かせないキャビア。今後もキャビア料理を安定して提供するには、完全植物性の代替品を導入するのもひとつの手段だ。また、地域特有の素材を活用した代替品は、エシカルツーリズムの目玉にもなり得る。日本ならではの完全植物性キャビアでメニューを考案し、チョウザメの保護と地域振興につなげてはどうだろうか。

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【参照サイト】 株式会社Dr.Foods、ニセコの素材を使用した「ニセコヴィーガンキャビア」を開発し、販売を開始

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