消費者のサステナブル意識の向上やフードダイバーシティの浸透に伴い、急速に拡大しているプラントベース(植物性)食品市場。こうした市場を牽引しているのはサステナブル先進国とも呼ばれる欧米諸国の企業だと認識している人も多いのではないだろうか。

しかし近年では、アジアでも徐々に普及が進みつつあり、日本のスーパーでもプラントベースミートやプラントベースミルクを目にする機会が増えてきた。2022年の中国での調査では、43.4%の人が「肉を減らすか避けている」と回答している。

2022年2月にはプラントベース専門の精肉店「Love Handle」がシンガポールにオープン。1階は、さまざまな代替肉、調味料、プラントベースの乳製品を販売しているデリカッセンと飲食スペース、2階のヴィーガンレストランでは自身で購入したプラントベース食品を使った出来立ての料理を食べることができる。アジアでは初めてのスタイルのお店として、注目されている。

【関連記事】 アジア初。プラントベース専門の精肉店「Love Handle」がシンガポールにオープン

シンガポール チャイナタウン

アジアでも徐々にプラントベース食品への関心が高まるなか、「株式会社Tastable(テイスタブル) 」は、同社の手がける“日本発”のプラントベースミート「NIKUVEGE(ニクベジ)」をシンガポールで販売開始したことを、2023年9月に発表した。

株式会社Tastableは、プラントベースミートをはじめとした食品の開発、設計、販売を行う日本企業。同社の手がけるNIKUVEGEは動物性原料を一切使用しておらず、昆布やきのこの出汁の風味を生かした和風な味付けが特徴。同社では、肉や魚の“代替品”ではなく、新たなたんぱく源として普段の食事に取り入れられる存在になることを目指しているという。

NIKUVEGE

(左から)メンチカツバーガー、ライスバーガー、つくね丼、坦々うどん

今回のシンガポール進出にあたり発表されたメニューは、Love Handleのシェフが考案した和食テイストなもの。NIKUVEGEシリーズの中でも人気の「NIKUVEGE豆乳クリームinハンバーグ」に衣を付けて揚げ、バンズでサンドしたメンチカツバーガーや、「NIKUVEG生そぼろ」を混ぜ込んで醤油をつけて香ばしく焼いたライスのバンズに、「NIKUVEGE原木」と生そぼろで作ったパティをサンドしたライスバーガーなど。バーガー以外にも、つくね丼や坦々うどんなど、食べ応えのあるメニューも展開しているという。

また、LoveHandleの店頭では、個包装になった冷凍食品として、メンチカツバーガーに使用されているパン粉をまぶした「NIKUVEGE豆乳クリームinハンバーグ」、「NIKUVEGE原木」、NIKUVEGE原木と生そぼろで作った「つくね串」を購入することができる。

NIKUVEGE

(左から)NIKUVEGE豆乳クリームinハンバーグ、NIKUVEGE原木、NIKUVEGE原木と生そぼろで作ったつくね串

最近は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う規制の緩和や円安の影響を受け、日本を訪れる外国人旅行者数が増加している。JNTO(日本政府観光局)の発表によると、2023年6月から8月の訪日外国人の数は3ヶ月連続で200万人を超えており、8月の訪日外国人数は2,156,900人にものぼった。

今後も外国人旅行者の増加が予想されるなかで、飲食店では「フードダイバーシティ」とも呼ばれる多様な食習慣への対応が求められている。NIKUVEGEのような日本発のプラントベースミートを採用することで、外国人観光客の需要に応えると同時に、日本における食のサステナビリティ実現を後押しすることにも繋がりそうだ。

【参照サイト】 株式会社Tastable HP
【参照サイト】 NIKUVEGEブランドサイト
【参照サイト】 株式会社TastableシンガポールでのプラントベースミートNIKUVEGEの販売を開始
【参照サイト】 Journal of Human Nutrition and Dietetics
【参照サイト】 JNTO 日本政府観光局:訪日外客数(2023年8月推計値)

table source 編集部
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table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆さまに向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
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