当ウェブメディアを運営する、ニッコー株式会社が推進するプロジェクト「NIKKO Circular Lab(ニッコーサーキュラーラボ)」は、2021年11月に「crQlr Awards (サーキュラー・アワード)」で、2名の審査員から賞を受賞した。

crQlr AwardsはFabCafe Globalならびに株式会社ロフトワークが主催するグローバルアワードだ。「名声ではなく、行動のためのアワード」「直線型ではなく循環型の評価を行う」「グローバル視点を獲得する機会」の3つを掲げ、循環型経済をデザインするプロジェクトやアイデアを世界から募集した。世界24カ国から応募総数204点が集まり、国内外のクリエイターやプロフェッショナル19名が審査員を務めた。

ニッコー株式会社は1908年の創業以来100年以上にわたり陶磁器づくりに取り組んできたメーカー。原料の調合から最終工程に至るまで、一貫して石川県の自社工場で生産を行なっている。一方で、近年では陶磁器づくりに欠かせない天然資源が過剰な採掘により枯渇傾向にあり、一部の原材料ではすでに調達価格の高騰が始まっている。また、日本の陶磁器事業全体が斜陽傾向にあり、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄というリニアエコノミーのモデルには限界がある。そうした課題に向き合うため、同社は2021年4月に原料調達から製品デザイン、物流、製品利用、回収にいたるバリューチェーン全体において、よりサステナブルで循環型の事業の実現を目指す「NIKKO Circular Lab」を立ち上げた。


|審査員による受賞理由(crQlr Awardsより引用)

  • CIRamics Prize/ Mohamed Muse Hassan

巨大企業がサーキュラーへの意識を高める取り組みに参加することは、循環型経済をより普及させるための最良の方法のひとつです。だからこそ、私はこのプロジェクトをお気に入りの選択肢の一つとして選びました。ニッコー株式会社の皆さんは、いい仕事をなさいました。循環型セラミックスという考え方を促進する組織横断的な研究開発プロジェクトをニッコー社内で採用したことは、賞賛に値する素晴らしい取り組みです。 ただ、これまでの成果と、社員をはじめとするステークホルダーの反応、ならびにコストと収益の数字も知りたいと思いました。これは、この取り組みの長期的な持続性を検証するうえで非常に重要です。

  • モノを大切に扱う心を養うで賞 /竹田 達哉

「ガシャン!」「危ないから触らないで!」それまで楽しい食卓を飾っていた食器がキケンな破片、「厄介な不燃物」に変わってしまう。ガラスや陶磁器は、割れた瞬間にその利用価値を失う。デリケートな物質であるが故の宿命。だが作り手は自分の作品のこのような末路を望んでいない。「厄介な不燃物」を産み出さない取組。これまであまり光の当たってこなかった陶磁 器を対象として、循環型のモノづくりを進めている点、モノを大切にすることを改めて認識させてくれる点、そして作り手へのモノ作りへの想いを想起させる点で、世の中に広く知ってもらいたいと思えるプロジェクトと評価しました。

crQlr Awards審査員コメントに関するクレジット
Ⓒ 2021 Loftwork Inc.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

NIKKO Circular Labのテーマは「100年後の、循環する未来をデザインする」。現在、取り皿のサブスクサービス、傷んだ食器のリカラーによるリユースや他分野へのアップサイクルなどのプロジェクトが進行している。table sourceでは今後のNIKKO Circular Labの活動についても、取り上げていく予定だ。

【参照サイト】crQlr Awards 受賞プロジェクト63点を発表!
【関連サイト】 ニッコー株式会社公式サイト
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table source 編集部
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