近年、ヴィーガン人口は世界的に増え続けている。2019年の観光庁の資料によると、主要100ヶ国・地域における、ヴィーガンを含むベジタリアンの人口は、毎年約1%近くの増加傾向にあるという。健康上の理由や、環境への配慮、加えて著名人らがヴィーガンを公言するようになったことなどが背景にある。
そうしたなか、2022年2月にアメリカ、ニューヨーク市ですべての公立学校が週に一度、金曜日にカフェテリアでヴィーガンフードのみを提供することを義務づけられた。これは世界初の試みであり、2019年に同市で開始された「ミートレス・マンデー」の成功に続き、学校メニューの恒久的な変更となる。
この動きの背景には、子供たちが健康的で栄養価の高い食の選択肢を広げ、教室の中でも外でも成功できるよう配慮する、という目的がある。ヴィーガンフライデーでは、学校側には提供する義務が課されるが、子供たちにはヴィーガン食を食べないという選択肢も与えられているため、ヴィーガン以外のメニューもリクエストに応じて提供する。制度を導入したエリック・アダムス市長は、自身がヴィーガンに転向したことで糖尿病の診断を覆したという経験から今回の導入に至ったという。
日本でもヴィーガンが身近なものとなる将来は近いかもしれない。株式会社フレンバシーの調査によると、2017年に1.0%だった日本におけるヴィーガン・ベジタリアン人口は2021年には全体の5.1%となった。また、週に1回以上、意識的に動物性食品を減らす「フレキシタリアン」は全体の15.8%に達したという。内閣府では、2017年3⽉より毎週⾦曜⽇をミートフリーの⽇として、食堂でベジタリアン・ヴィーガンメニューの提供をはじめており、大学の食堂等でもそういった動きが見られるようになった。ホテルやレストランでも今後、健康で栄養価の高い食の選択肢として、ヴィーガン対応は無視できなくなってくるだろう。
【参考サイト】NYC’s Plant-Based Mayor Initiates Vegan Fridays At All City’s Public Schools
【参考サイト】第3回日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査 by Vegewel
【参考サイト】飲食事業者等における ベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド