近年、アップサイクルという言葉を目にする機会が増えている。アップサイクルとは本来であれば捨てられてしまうものに手を加え、新たな価値を持たせて生まれ変わらせる手法である。
SDGsの12番目の目標に「つくる責任、つかう責任」がある。2050年には世界の人口が97億人に達すると予測されており、このままのペースで生産・消費を続けていくと地球上の資源が足りなくなることが懸念されている。そうした事態を避けるために、限られた資源を有効に利用し、不要になったものを再び資源として活用する資源循環型の社会システムへの転換が求められている。企業も消費者も「宇宙船地球号」の一員として、一人ひとりがかけがえのない地球のために行動しなくてはいけない。
こうしたなか、大阪中之島美術館は、過去に開催された展覧会の巨大垂れ幕を廃棄せずに再活用するアップサイクルプロジェクトを開始した。その第一回として2023年5月28日に同美術館でのワークショップを開催する。
広告代理店「株式会社エヌケービー」と繊維専門商社「株式会社チクマ」が企画・運営を担い、「社会福祉法人いちょうの森」の協力のもと実施された今回のワークショップ。3つのサイズにカットした平面の垂れ幕を、ワークショップ参加者がハサミと速乾性ボンドを使用して世界にひとつだけのハンギングオーナメントへと仕上げる。2023年度にはワークショップを4回開催する予定で、夏には小学生向けのワークショップの開催も予定している。
アート・環境・福祉の視点を取り入れたアップサイクルワークショップは、好きなアートを自分の暮らしの中に飾る楽しみを体験できるだけでなく、地域との連携やパートナーシップを大切にしながら持続可能な社会の実現を目指すSDGsの精神を育むことにもつながる。
今回のワークショップは美術館での事例だが、こうした取り組みはアイデア次第で飲食店やホテルでも企画できる。サステナビリティをテーマにしたワークショップの開催は、自社の取り組みの周知だけでなく、特別感のある体験の提供にもつながる。さまざまなサステナブルなテーマがあるなかで、「アップサイクル」のワークショップは役目を終えた備品を活用するため、アイデア次第では低予算で実施することができそうだ。
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【参照サイト】 国際連合工法センター:世界人口は2022年11月15日に80億人に達する見込み(2022年7月11日付 国連経済社会局プレスリリース・日本語訳)