ホテルの各客室に必ず設置されているタオルや寝具。ゲストの肌に直に触れるものだからこそ、汚れや傷みが生じるとまだ使える状態であっても再び客室で使用することは難しい。これは、日本に限らず世界のホテル業界が直面している深刻な課題だ。
アメリカでは、ホテル業界の最高基準を満たさなくなったタオルや寝具が廃棄され続け、アメリカの埋立地には毎年1700万トンもの繊維廃棄物が捨てられているという。
こうした廃棄物の削減に取り組みながら地域の社会貢献を行っているのが、アメリカの高級リゾート「Mount Airy Casino Resort」だ。ペンシルベニア州初の4つ星に格付けされたこのカジノは、300室近い高級客室と豪華スイートも備えている。2023年2月21日、同社では客室で使用できなくなったタオルや寝具をトラック1台分、地元の動物保護施設に寄付したことを発表した。
ペンシルバニア州ストラウドバーグにある非営利の動物保護施設「Camp Papillon」は、寒い冬の間も数多くの救助犬を抱えている。Camp Papillonの副社長Felicia Katz氏は、プレスリリースの中で「Mount Airy Casino Resortは、私たちが買えないような、柔らかい寝具や入浴後の動物たちを乾かすためのタオルを提供してくれました。これらのリネンは、リラックスを促し、シェルターに閉じ込められた動物たちのストレスを軽減してくれます。動物たちが落ち着いていることで、より多くの里親を見つけることができるのです。」と話す。
4つ星の評価を維持するためには、高級リゾートは高品質のベッドリネンをお客さまに提供しなければならず、それはシーツ、枕カバー、掛け布団を頻繁に取り替えることを意味する。Mount Airy社のCOO兼総支配人であるBen Koff氏は「必要な人々を支援しながら、これらの高品質のリネンを再利用する方法を見つけることは、責任ある企業として地域や環境への貢献という役割を果たすことを意味します。」と語っている。
同社は今までも長年にわたり、地元の住民に重要なサービスを提供する慈善団体に現金・物品の寄付、地域イベントのスポンサー協力など、100万ドル以上を寄付している。Camp Papillonへの支援も含め、これらの取り組みを今後も継続的に行なっていく予定だという。
2022年2月に、日本を含む世界11ヵ国で各国1,000人を対象に実施された意識調査によると、全体の約90%もの人が「旅行をする際、サステナブルかどうかを意識している」と回答している。ゲストにとって、ホテルのタオルや寝具の使い心地を意識するのと同じように、「どのようなサステナビリティに取り組んでいるか」というのも、ホテルを選ぶ上での重要なチェックポイントだと言えそうだ。
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【参照サイト】 Spotlight On Sustainable Travel: Consumer Attitudes, Values, and Motivations in Making Conscientious Choices