森永乳業、今まで廃棄していた紅茶粕を牛の飼料として活用開始へ。メタン削減の可能性

牛 メタンガス 紅茶粕

世界各地で気候変動が深刻化し、生態系だけでなく人間の経済活動や健康にも影響を及ぼしている。この危機的な状況に対し、地球温暖化を進行させる温室効果ガスの削減は喫緊の課題となっている。

温室効果ガスの排出源のひとつに挙げられるのが、食料生産を支える畜産業だ。なかでも食用や搾乳のために飼育される牛は、胃の中で餌を分解する際、二酸化炭素の25倍も温室効果があるメタンガスを生成。牛1頭あたり1日300〜500リットルものメタンガスが、げっぷとして大気中に放出されているという。地球上に存在する牛は約15億頭にものぼり、持続可能な畜産業へと転換していくには、げっぷに含まれるメタンガスをいかに抑制するかが重要といえる。

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乾燥加工後の紅茶粕

そうしたなか、乳製品をはじめ食品飲料の製造販売を行う「森永乳業株式会社」は2026年2月26日、紅茶飲料の製造において発生する廃棄物を牛の飼料として再利用する取り組み開始を発表した。

同社はサステナビリティ中長期計画2030の「資源と環境」において、「環境配慮と資源循環」「気候変動の緩和と適応」を重要なマテリアリティの一部に位置づけている。特に「気候変動の緩和と適応」では、2030年度までに2020年度比でScope3におけるCO2排出量削減率10%以上を目標に設定。Scope3とは原料の仕入れから販売後の製品利用および廃棄に至るまで、サプライチェーン上で自社以外で発生する温室効果ガスを含む指標であり、より広範囲にわたって温室効果ガスの削減に注力している。

これまでグループ会社である「横浜森永乳業株式会社」では、紅茶飲料の製造過程で発生する茶殻を工場で乾燥加工したうえで廃棄していた。しかし今回、その乾燥させた紅茶粕を、同じくグループ会社の「森永酪農販売株式会社」が運営する那須岳麓(がくろく)農場へ輸送し、乳牛など約100頭の飼料として活用。グループ内で資源を循環させる仕組みづくりを進めている。

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森永乳業株式会社では、紅茶粕にさまざまな成分が残存している点に着目し、2021年より信州大学、日本農産工業グループの「ノーサンファーム株式会社」、公益財団法人森永酪農振興協会と共同研究を実施。乾物重量中2%の紅茶粕を混合した飼料を乳牛に給与し、メタン発生の要因となる第一胃内の発酵について分析した。

その結果、一定条件下において、紅茶粕の給与にはげっぷ由来のメタンガス発生を抑制する効果があり、メタンガス生成量を約9%削減できる可能性が示された。この研究成果は、2023年10月にアメリカ・シカゴで開催された国際酪農連盟(IDF)主催の「ワールドデーリィサミット」でも発表されている。

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ただし、今回の取り組みは共同研究時とは条件が異なるため、紅茶粕によるメタンガス抑制効果を直接検証するものではないという。しかし同社は、今後も検証と改善を重ねながら、将来的な温室効果ガス削減につなげていきたい考えだ。

森永乳業の取り組みは、すぐに大きな成果へ結びつくものではないかもしれない。しかし、これまで廃棄されていた副産物を資源として循環させる発想は、廃棄物削減だけでなく、将来的な環境負荷低減にもつながる可能性を秘めている。大手企業がこうした挑戦を継続することは、業界全体の意識変化や技術開発を後押しするきっかけにもなるだろう。

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【参照サイト】紅茶飲料の製造過程にて発生する紅茶粕を牛の飼料として活用開始|森永乳業株式会社
【参照サイト】森永乳業のサステナビリティ
【参照サイト】紅茶粕を乳牛に給与することで、メタン生成量を約9%削減する効果を確認 ~国際酪農連盟(IDF)ワールドデーリィサミットにて発表
【参照サイト】畜産研究部門:牛のメタン | 農研機構

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