旅行先の本来の文化や環境、現地の人達への配慮に重きを置いた、持続可能な観光「サステナブル・ツーリズム」が注目を集めている。2021年10月に 楽天トラベルが実施した「旅行や観光分野のサステナビリティへの取り組みに関する意識調査」によると、旅行先や宿泊施設でのサステナビリティに向けた課題例に対し、問題意識を感じると答えた人が74.6%だったという。
そうしたなか、高級リゾート地として知られるモナコ公国では、2021年11月に「モナコ公国のサステナブル・ツーリズム白書」を公表した。本白書はSDGsとモナコ公国のエネルギー移行目標を基に作成された。作成に向けて、モナコの観光産業におけるSDGs、サステナブル・ツーリズムなどの現状を分析、モナコの観光産業をより持続可能なものにすることを目的としているという。
なかでも注目したいのが、モナコのホテル業界のサスティナビリティ意識の高さだ。モナコ公国のホテルの約88%の客室が、国際的な環境認証を受けており、認証を受けた全てのホテルが、サステナブル・ツーリズムを掲げる「グリーンチーム」を有している。
また、環境に配慮したソフトモビリティへのシフトも進んでいる。モナコは、国土の約2km²内の全ての場所へ徒歩で簡単にアクセスできるように、ソフトモビリティのインフラを構築している。また、バイオディーゼルを使用した公共バス、電気のシェアリング自動車、公共の電動自転車、水上バスなど、環境に優しいモビリティソリューションが幅広く導入されている。
モナコはカジノや多くのラグジュアリーホテルを保有している華やかな観光地だ。一方で、これまでも天然資源の保護、特に海洋保全や温室効果ガスの削減など、環境に配慮した観光をリードしてきた。日本にとっても、今回の白書から学ぶべき点が多いのではないだろうか。