原油や液化天然ガスといった化石燃料は人々の生活に欠かせない一方で、枯渇を危惧されている資源だ。また、化石燃料の燃焼によって発生する温室効果ガスは、気候変動の要因となる。

気候変動に対応するためには、世界中でカーボンニュートラルに取り組む必要があるだろう。カーボンニュートラルに効果的な資源として注目されているのが、バイオマスである。バイオマスは再生可能なエネルギーであるうえに、大気中の二酸化炭素を増加させないところが大きな特徴。実は、バイオマスには「お米のもみ殻」も該当する。

もみ殻は米の収穫・精米過程で発生する副産物だが、廃棄や焼却処理に悩まされる米農家も少なくない。2017年1月10日の日本総研の経営コラムによると、年間に約200万トン発生するもみ殻のうち約40万トン、重油にして10万キロリットル以上に相当する量が廃棄されているという。
バイオマスでありながら、その多くが廃棄されてしまっているもみ殻。このもみ殻を燃料にアップサイクルできれば、クリーンなエネルギー源としてカーボンニュートラルの実現に貢献できる。

このもみ殻の可能性に着目した農業生産法人「The北海道ファーム株式会社」は、サステナブルなアップサイクル燃料「モミガライトPopke(ポプケ)」を2023年2月10日より販売開始した。

モミガライトは、薪に代わる固形燃料としてアウトドアや薪ストーブに活用できる。モミガライトの原料には、同社の農場「The北海道ファーム」「Theファーム上総介」で生成されるもみ殻を100%使用。接着剤を使うことなく機械によりもみ殻を10分の1程度に圧縮成形しているため、燃焼時間は薪に比べて2倍以上で、火力も強いという。また、水に濡れない限り、10年程度の長期保存が可能なことから、災害時の備蓄燃料にも適している。さらに、燃焼後の灰は田畑の肥料に使えるところも魅力のひとつだ。

収穫した米のもみ殻を燃料にアップサイクルし、米農家の生産体制に還元させていく。このようなサーキュラーエコノミーを形成することで、廃棄物や二酸化炭素排出量の削減が期待される。また、米の持続的な生産供給が可能となれば、SDGsの目標達成に多方面からアプローチできるだろう。飲食店としても、サステナビブルなお店づくりを推進するために、こうしたサーキュラーエコノミーに取り組む農家からの調達を検討してみてはどうだろうか。

【参照サイト】 農家が作る次世代燃料「モミガライト」
【参照サイト】 米農家が作る“次世代燃料“「モミガライト Popke(ポプケ)」 が2023年2月10日(金)新発売
【参照サイト】 バイオマスとは?:九州農政局
【参照サイト】 日本総研:廃棄物系バイオマス利用の転換による地域での新たな付加価値創出

table source 編集部
table source 編集部
table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆さまに向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
Share
This