本来食べられるにも関わらず、廃棄される食品を指す「食品ロス」。2021年04月27日の環境省の報告によると、日本で発生する食品廃棄物は年間約2,531万トン。このうち食品ロスは約600万トンと推計されており、1人当たりではお茶碗1杯分のごはんに相当する量が毎日捨てられている計算になる。
こうした現状が問題視されるなか、「都ホテル京都⼋条」は2022年8月4日より、生ごみリサイクルによる食の循環を目標として「コンポスト」の運用を開始した。
「#たべるめぐるホテル」と題したこの取り組みは、2021年より同ホテルと共に「食のSDGsプロジェクト」を進めている「京都府立農芸高校」の協力のもとに実現した。ホテル厨房から出た生ごみの一部をコンポストで堆肥化し、その土でハーブの有機栽培を行っている。
コンポストは、ホテル敷地内に設置することを想定し、同校の生徒が研究を進めて完成した。コンポストのもととなる堆肥は、生ごみの分解を速めながらも臭いを限りなく抑えた独自の配合に。容器であるコンポスターは、温かみのある木材で作り上げたという。
収穫したハーブは同ホテル内のレストランにて、ハーブの味わいを生かしたスイーツやカクテルメニューとして提供される。
「#たべるめぐるホテル」第一弾メニュー
【販売開始日】2022年8月24日(水)
【販売店舗】ダイニングカフェ&バー「ロンド」1F
また、同ホテルは、2022年秋頃にウェルカムフラワースポットの新設も予定している。「#めでるめぐるホテル」と名付け、季節の花々をコンポストの堆肥と土を使って栽培していくという。
農林水産省が2019年7月に公表した「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)の基本方針では、「食品関連事業者から発生する事業系食品ロスを2000年度比で2030年度までに半減させる」ことを目標にしている。
消費者の食品ロスへの問題意識が高まる今、ホテルやレストランとして具体的な対策を示すことは必須ともいえる。食品ロス問題の解決に寄与し、食の循環システム「サーキュラーエコノミー」を実現する手法として、コンポストの活用を検討してみてはいかがだろうか。
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【参照サイト】我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成30年度)の公表について | 報道発表資料 | 環境省
【参照サイト】食品ロスの現状を知る:農林水産省