地球環境と食の関わりは深く、特に近年「フードロス」や「フードマイレージ」という概念への認知が急速に広がりを見せている。
農林水産省が全国の満18歳以上の男女5,000人を対象に行った「フードロスに対する意識調査」では約80%の人が「知っている」と回答。また、食品ロスを減らすための取り組みについては、「残さずに食べる」と回答した人が 69.3%と最も多かった。
「食料の ( = food) 輸送距離 ( = mileage) 」であるフードマイレージは、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせることで算出する数値だ。食料の輸入によって発生する環境負荷を可視化し、把握することを目的としており、近年この「フードマイレージ」を低減させようとする動きが多く見られている。
こうした概念が浸透するなか、2022年8月30日、「株式会社橋口加工食品研究所」の代表・農学博士 橋口亮氏は、フードマイレージとフードロスの低減を目的として、研究・開発を進めてきた「未来野菜」が完成したことを発表した。
野菜の特徴を最大限に活かしたシート状の加工食品が「未来野菜」。2005年より株式会社橋口加工食品研究所が、野菜の新たな活用を目的として研究を重ねて誕生した。
未来野菜には、シート1枚あたり約70~150gの野菜が使用されており、そのままでもおいしく食べることができる。色鮮やかで見た目にも美しく、野菜の味が濃いことが特徴だ。原材料には、長崎県産の野菜を中心に九州産、国産の野菜を使用。市場に出回らない希少な野菜や、旬の野菜を長期に渡り食せることから、フードロス対策にもつながる。シート状になっていることで野菜が苦手な人でも食べやすそうだ。
また、軽量でかさばらず、常温で6ヶ月~1年間の保存が可能であることから、非常食としての活躍も期待できる上、野菜そのままの状態に比べてコンパクトに輸送できるためフードマイレージの抑制にも貢献している。
「未来野菜」4つの特徴
■見た目の美しさ
色鮮やかなカボチャやビーツのシートなど、美しい見た目だけでなく、野菜の旨味が活かされた加工食品です。
■柔軟性と切断しやすさ
やわらかで、しなやかな未来野菜は、細工はもちろん、様々な料理や加工に柔軟に対応できます。
■加熱耐性
直接の加熱には向きません。蒸し物、揚げ物の内側に使用すると柔らかくなり、色も美しく発色します。また、冷蔵するとフレークのようなパリパリの食感に変わります。
■扱いやすさ
常温で保存でき、軽量でかさばりません。シートの厚さの変更が可能です。
公式サイトより引用
近年、フードテックの発展が進み、未来野菜をはじめ、環境に配慮した新たな食材が次々と誕生している。消費者のサステナブルな意識が高まるなかで、こうした新たな食材を飲食店が率先して活用することは、消費者からの注目を集めることにもつながるのではないだろうか。
【参照サイト】長崎より、そのままでもおいしく食べられる濃い風味を特徴とした野菜のシート状食品「未来野菜」をご紹介します。
【参照サイト】株式会社橋口加工食品研究所 公式ホームページ
【参照サイト】令和3年度 消費者の意識に関する調査 結果報告書
【参照サイト】「フード・マイレージ」について