2018年、1本のストローがウミガメの鼻に刺さっている動画が拡散され、人々に衝撃を与えた。以来、「脱プラスチック」への意識の高まりとともに、世界中の数多くの企業がプラスチック削減策を打ち出し、取り組みを進めている。
なかでも、アルプスの山々をはじめとする雄大な自然で知られるスイスでは環境意識の高い人が多いといわれており、小売業界でも脱プラに向けた動きが活発だ。スイス全土で600店舗以上を展開する国内最大のスーパーマーケット「Migros」では、2020年からプラスチック製の食器やカトラリーの販売を中止し、バイオプラスチックや紙、パームヤシの葉など環境に配慮された素材の商品を販売している。
そうしたなかMigrosは、2022年9月にプラスチック製のカプセルを使用しないコーヒーカプセルを発表した。「CoffeeB」と名付けられたコーヒーカプセルは海藻由来の素材でできており、無味無臭の上、100%コンポスト可能。約4週間で完全に堆肥化される。もちろん、コーヒーの抽出中に溶けてしまうこともないという。フレーバーは、エスプレッソやルンゴ、リストレットなど、8種類が販売されている。
このCoffeeBのカプセルを使用するには「Globe」という専用のコーヒーマシンが必要となる。Globeはエネルギー効率にも優れ、わずか1分で自動的に電源が切れるほか、モジュール式の機械設計により、不具合が発生した場合は同社のサービスセンターで修理が可能だ。
Migrosのプレスリリースで、ミグロ協同組合連合会のファブリス・ツムブルネン氏は「CoffeeBを使えば、カプセル式の利便性を損なうことなく、持続可能なコーヒーの楽しみを提供することができるのです。CoffeeBによって、今日の消費者のニーズに応え、環境にも良い影響を与える技術を開発できたと確信しています。」と述べている。
同社によると、毎年、何十億個ものアルミやプラスチックのコーヒーカプセルがゴミとして捨てられているという。ひとつひとつは小さなコーヒーカプセルだが、何十億個ともなると、決して看過できない量だ。
Migrosでは、プラスチック削減以外にも、サステナブルな取り組みを積極的に行っており、2020年から展開する「V-Love」と呼ばれるプラントベースブランドでは、すでに100種以上の商品を販売。2021年にはプラントベース(植物性)のゆで卵を発売し、話題になった。半分に切ると、鶏卵のゆで卵のように白身と黄身に分かれている見た目にもユニークな商品だ。柔軟な発想で、サステナブル商品の開発や販売を積極的に進める同社の取り組みに、今後も注目したい。
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