近年、代替肉と同様に関心が高まっている「培養肉」をご存知だろうか。「培養肉」は、鶏や牛などの動物の体を傷つけることなく細胞を取り出し、動物の体外で細胞を増やしてつくられる。大豆ミートなどの代替肉とは違い、肉そのものでありながら動物を飼育する必要がないため、アニマルウェルフェアや環境負荷軽減といった理由からも注目を集めている。

そうしたなか、培養肉の開発・販売を行う企業Eat Just(イート・ジャスト)は、2021年12月にホセ・アンドレス氏が同社のブランドである「GOOD Meat」の取締役に就任したことを発表した。

ホセ・アンドレス氏はミシュラン星付きを含む30軒のレストランを展開しており、2018年のアメリカのTIME誌「最も影響力のある100人」にも選ばれている。同時に、生活困窮者や被災者へ食事支援を行う非営利団体「World Central Kitchen(ワールド・セントラル・キッチン)」を創設するなど、人道主義的なシェフとしても知られている。

Eat Justは、ウコンと緑豆のタンパク質を使った植物性代替卵「Just Egg」を開発したフードテック企業だ。2020年には同社が開発した培養肉「GOOD Meat」が世界で初めてシンガポール政府から販売承認を取得したことも話題になった。

今回のパートナーシップにより、アンドレ氏はEat Justに肉の味に対するアドバイスを提供する。また、良質な細胞を調達するため、アンドレ氏が信頼する小規模農家にGOOD Meatを紹介し、農家と長期的な細胞株契約を締結するなどサプライチェーンの確保にも貢献するという。これにより安定した品質と地域経済の支援を実現させたいという考えだ。

培養肉は、アニマルウェルフェアや環境負荷を理由に肉の摂取を控えている人にとって新たな選択肢の一つになるだろう。一方で、研究開発や設備などにかかる生産コストが課題となっている。アンドレス氏のような著名なシェフがアクションを起こしたことによって、培養肉市場の底上げにつながるのではないだろうか。

【参照サイト】Eat Just Announces Chef José Andrés Has Joined Its GOOD Meat Board Of Directors
【参照サイト】GOOD Meat
【参照サイト】José Andrés

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table source 編集部
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