近年、動物愛護や環境問題の観点から世界中で広まりつつあるのが、「アニマルウェルフェア」という家畜福祉の考え方だ。
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例えば採卵鶏の場合、アニマルウェルフェアに則り、ケージに入れずに飼育する「ケージフリー」が推奨されている。ヨーロッパでは、すでにケージ型の飼育方法を法律で禁止している国もみられる。また、自社で使用する卵をケージフリーに切り替えることを消費者に約束する「ケージフリー宣言」に取り組む企業も増加傾向だ。
実際に、採卵鶏のケージ飼育の根絶を目指すオープン・ウィング・アライアンス(OWA)は、2022年5月に「ケージフリー進捗および達成レポート」を発表。これによると、2021年までにサプライチェーンから採卵鶏のケージを撤廃する「ケージフリー公約」を掲げていた企業のうち、88%が公約の実現を達成したとされる。前年に行われた、2020年を対象とする調査での達成率は85%であり、前回結果を上回った。
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そうしたなか、マクドナルドは、2025年までに米国内で100%ケージフリー卵を調達するという目標を当初の予定より2年早く達成した、と公式サイトで発表した。
マクドナルドでは、2023年に米国内で約20億個の卵を購入。2015年に米国でケージフリー卵の購入に切り替えると決定して以来、経営者とサプライヤー、従業員が共通の目標に向かって取り組んできた。品質と安全性を向上させるため、米国内でマクドナルドに卵を供給する各農場には、獣医師が常駐。高レベルのケアを確保できるよう、スタッフのトレーニングと教育を主導しているという。
また、米国内規模でのケージフリー卵の供給を実現するには、Cargill社と鶏卵生産者のサポートがなければ不可能だったという。ミネソタ州を拠点とする4代続く家族経営のForsman農場は、ゼロの状態からケージフリーの認定を受けるのに必要な変更に取り組み、マクドナルドとCargill社がその移行期を支えるべく足並みを揃えた。
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このようにマクドナルドは、鶏卵生産者に対して農場の建設や改築、新技術の導入を支援。1958年から操業し、数十年にわたってマクドナルドとCargill社にシステム供給している、ミシガン州で4代続く家族経営のHerbruck養鶏場もそのひとつだ。
マクドナルドの上級副社長、北米最高サプライチェーン責任者であるBob Stewart氏は、公式サイトの発表の中で「米国で100%ケージフリー卵の調達に移行するという私たちの取り組みは、大事業でした。これは、オーナー兼経営者、Cargill社とその鶏卵生産者、そして私たちのサプライチェーンが1つのチームとして協力して初めて可能になりました。私たちが一緒に達成したこと、そしてより持続可能な未来への道に今後もプラスの影響を与え続けることを、非常に誇りに思っています」とコメントしている。
日本でも、2021年8月に内閣府の食堂で使用する卵が100%ケージフリー卵に変更されたことが話題となった。また、イオンやコストコなど大手の食品スーパーマーケットでもケージフリー卵を目にする機会が増えている。
消費者のケージフリー卵に対する認知度が日々高まるなか、飲食店がどのような卵を使っているのか気にするお客さまもますます増えそうだ。
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【参照サイト】 McDonald’s Achieves Goal of Sourcing 100% Cage-Free Eggs in the U.S.