オランダのマクドナルド、植物性メニューを牛肉より優先して掲載。新商品の発表も

オランダのマクドナルド

世界的な人口増加に伴い、食肉や乳製品など、動物性たんぱく質のさらなる需要拡大が見込まれる。その一方で、動物性製品の生産に欠かせない畜産業は、温室効果ガスの大量排出や水資源の汚染、森林破壊を引き起こす要因として問題視されている。

こうした畜産業の課題解決に向けて注目されているのが、プラントベース(植物性)フードだ。プラントベースフード業界を支援するアメリカの団体「Plant Based Foods Association」の調査によると、2021年に米国での植物性食品の売上は6.2%成長し、市場総額は過去最高の74億ドルに及んだという。

今後、世界中でプラントベースフード市場の成長が進めば、食料危機や環境問題に対するサステナブルなアプローチが可能になるだろう。

そうしたなか、「McDonald’s Nederland(オランダ・マクドナルド)」は、顧客がよりサステナブルな代替品を選択するよう奨励する取り組みとして、新たに4種類の肉を含まない製品をメニューに追加した。新商品のうち、2つは期間限定で販売される。

期間限定商品であるマックプラント・ステーキハウスは、既存商品オリジナルマックプラントの別バージョンで、チーズ抜きで注文することで、完全な植物性のバーガーにできる。
もうひとつの期間限定商品、ミートレス・マックロケットは、オリジナルマックロケットの代替品で、ジャックフルーツから作られた植物性のコロッケが使われている。ソースなしにすることで、植物性バーガーとして食べられる。

常設メニューとなる新製品は、ベジナゲットとベジチキンハニーマスタードサラダ。ただし、両者は乳製品と卵を使用しており、サラダの原材料にははちみつも含まれる。そのため、完全菜食主義であるヴィーガン食には対応していない。

オランダ・マクドナルドは、この新商品をチキンと並べてメニューの最初に掲載。牛肉を使ったメニューよりも、ベジタリアン・オプションを優先して位置づけている。さらに、同チェーンは肉を含まない商品に重点を置くために、キャンペーン予算を変更することも発表している。

現在、オランダのマクドナルドほぼ全店で、肉を含まない新製品が提供されている。オランダ・マクドナルドのこうした動きには、マクドナルドのEUにおけるプラントベースメニューの好調な業績が関係している。

実際にオランダでは、2021年にプラントベースバーガーであるマックプラントが試験的に導入され、昨年10月には常設メニューとなった。

また、オランダは欧州諸国の中でも一人あたりの代替肉の売上が最も高く、消費者の70%以上がよりプラントベースの食生活への移行を支持している。つまりオランダ・マクドナルドの新製品は、世界最大のフードチェーンであるマクドナルドにとって、日々高まるプラントベースフードへの需要に応えるひとつの手段といえるだろう。

肉を含まない商品をメニューの目立つところに掲載することで、消費者に新たな食の選択肢を提供すると同時に、お店のフードダイバーシティ対応のPRにもつながりそうだ。大胆な改革を進めるオランダ・マクドナルドの今後の動向にも注目したい。

日本の飲食店でも、オランダ・マクドナルドにならって牛肉メニューより前にプラントベースメニューを配置し、消費者にサステナブルな食の選択を促してみてはどうだろうか。

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【参照サイト】 McDonald’s Nederland
【参照サイト】 McDonald’s Netherlands Lists Its New Meatless Burgers, Nuggets & Salad Before Beef on the Menu
【参照サイト】 2021 U.S. Retail Sales Data for the Plant-Based Foods Industry – Plant Based Foods Association

table source 編集部
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